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乳幼児とアトピー~治し方を考える~

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アトピーを治したいなら

  • 小さな体にかゆみをいっぱい詰めこんで、掻きむしっては泣いている─。幼いお子さんのアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略します)は、見ているだけで胸が痛みますね。
    掻けば皮膚に傷がついて、ますますアトピーが悪化してしまい、なかなか皮膚が治らないことにやきもきされる親御さんも多いことでしょう。「掻いちゃダメ!」と掻かせないほうがいいのか、我慢をさせるストレスのほうが肌や心に悪いのか…。どう考えるのが正しいのか、迷うこともありそうです。デン!と構えてアトピーに立ち向かうために、正しい知識を得ていきませんか。

  • 食物アレルギーが先かアトピーが先か
  • これまでのアレルギー医学では、乳幼児期(6歳まで)は、食べ物を消化する機能がまだきちんと整っていないため、小さな子どもには食物アレルギーが発症しやすいと考えられてきました。そうして食物アレルギーからアトピーへと発展するという説が一般的でした。
    しかし、最近の論文などではこのアレルギーマーチの順序が覆されてきたと、大阪府済生会中津病院免疫・アレルギーセンター部長代理・末廣豊先生は言います。「守るべきはまず皮膚のバリアであると考え方が変わってきました。皮膚表面を壊さず、湿疹をゼロに保てば、食物アレルギーやダニ・花粉のアレルギーも起こさず、喘息も防げると分かってきたのです。NIH(「アメリカ国立衛生研究所」の略。アメリカ最古の、世界最大の優れた医学研究所施設)でも研究の方向性がこのように変わってきています」
    ご存じでしょうか 。人間の皮膚は、その表面をわずか10ミクロン(ラップ1枚分程度)の薄い上皮が覆っています。薄いけれど、外から皮膚の中へ侵入しようとするウイルス、ばい菌、細菌、アレルゲン物質を遮断する大きな力を持っています。
    アトピー症状のある肌は、このラップ1枚分の上皮のあちこちが損傷している状態です。その皮膚を修復し、バリア機能を正常にすることがすなわち、アレルギーの悪化・連鎖を防ぐのです。

  • かゆくなくても掻く どういうこと?
  • 「掻くという行為は、かゆみのみが起因しているとは限らない」とも末廣先生。どういうことでしょう。「癖のようなものからつい掻いてしまう子どもたちは多いです。ただ言えることは、アトピーは、掻くと必ず悪くなってしまうということです」
    無駄に掻いてしまわないためにも、手を使ってできる遊びやゲームを考えるのは1つの大きな工夫です。「一生懸命に手を使っているときは、子ど
    もたちは肌を掻かないことが多いと、患者さんの親御さんから聞きました。ご飯を食べているときは掻かないという声も多かったです」

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  • 上のアンケート結果を見てみると、「気分が不安定なときに掻く」というのも上位にあります。気分が不安定な時は、お母さんがやさしく抱きしめてあげたり、できるだけ笑顔いっぱいで過ごせるように工夫してあげることも大切なケアではないでしょうか。


  • 皮膚は強くすることができる気管支は強くできない
  • 気管支のアレルギーである「喘息」は、やはりわずかラップ1枚程度の薄さの気道上皮に傷がついてアレルゲンを侵入させてしまうことが原因で起ります。
    仕組みとしては皮膚表面に起る「アトピー」と同様ですが、気管と皮膚とでは大きな違いがあると末廣先生は説きます。「気管は、いくらがんばっても強くすることができません。それに比べて皮膚は、適切なスキンケアを行ったり、掻く衝撃から守ることで強くしていくことが可能です。皮膚表面は目に見えるというのも大きな強みです。赤くジュクジュクしてしまっているなど、症状が出ているところに適切なケアを施すことができます」
    前出のアンケート結果で、掻くとき=「気分が不安定なとき」とありましたが、喘息の場合も、心因性の関与が大きいと末廣先生は見ています。「私がいないとこの子は不安で仕方がないから」と、構いすぎる親御さんがいる場合、子どものアレルギーが強くなる傾向もあるとのことです。親の不安を子どもに見せすぎないのも、治癒のために親ができることなのかもしれません。

  • 掻き壊さずに掻く満足を
  • アトピーの悪化を防ぐためには「掻かないこと」と伝えてきましたが、正確には「皮膚表面を傷つけないこと・掻き壊さないこと」が大切です。
    仮に掻いても、皮膚表面のバリア傷害を起こさなければ大丈夫。そのためには掻き壊し予防対策手袋を利用するのも1つの大きな工夫です。



 



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