春先のアトピーケア 中編 |
- 入浴毎日しっかり行う
- 健全なバリア機能を維持していく
ために関わる要因の一つには、「細胞
の再生」が関係してきます。
皮膚は「細胞」で構成されています
ので、この「細胞」をどのように作っ
ていくのかが、その健全性に関わる
のは当たり前なのですが、健全な細
胞の再生を行う上で大切な素因
は、細胞を作り上げる材料を運
んでくれる「血液」です。
今月号では血管壁とアトピー性皮 膚炎についての特集※を組んでいま すが、毛細血管の状態がアトピー 性皮膚炎の症状に大きく関わっ ており、「健全な毛細血管の新生」を 行うために、毛細血管を作る材料を 運ぶ「血流を良くする」=冷えの 状態の改善が根本的に必要になっ てきます。
「冷え」というと、手足が冷たい状 態を指していると考える人が多いの ですが、その「冷たい状態」とは「結果」 であって「原因」ではありません。 体に必要な栄養素、酸素、そして熱 は全て血液によって運ばれます。 つまり手足が冷たい状態とは、熱 が血流で運ばれていない=血流が悪 い状態を指している、ということです。
当然、血流が悪ければ、毛細血管の 新生に必要な栄養素、酸素なども十 分に運ばれず、正常な毛細血管が 形成されなければ、その周囲へ の細胞に栄養素や酸素が届かず、 「健康な細胞」が形成されなく なります。
健康な細胞の形成がされなければ、 当然ですが、健全なバリア機能も形 成されず、結果的にアトピー性皮膚 炎に対して、悪化要因につながって くる、ということになります。
そこで、健全なバリア機能の形成 のために、皮膚表面でのケアだけで なく、体の中から行うケアとして、「冷 えの改善」を行うことが必要です。 冷えの改善として有効な手段 としては、運動や入浴があります。 特にまだ寒さが残る時期、毎日の 生活習慣として反復継続する必要が あることを考えると、入浴がもっと も取り入れやすい「手法」と言えるで しょう。
そして、春先のアトピー性皮膚炎 のケアを意識して行う「入浴」とは、 この「冷えの改善」を目的に行うこと が大切になります。 入浴自体は、洗浄効果、温熱作用 や非特異的変調作用による自律神 経や内分泌機能の正常化効果(恒常 性機能)、スキンケアの効果などいく つかの効果を得ることができますが、 季節的な悪化要因などを加味すると、 今の時期は「冷えの改善」ができる「入 浴」を実践することが望ましい、とい うことになります。
皮膚に塗布するスキンケアだけで なく、体の中からバリア機能を高め られるケアを実践することで、春先 の悪化要因をしっかり乗り越えるこ とができるでしょう。