肌免疫を高める夏に行うべき4つのケア |
- お肌の免疫力低下に伴う対策を
- 梅雨から夏にかけて、アトピー性皮膚炎を悪化させやすい要因は、お肌の要因と体の要因の二つに分かれてきます。まず、お肌の要因とは、紫外線や汗によって皮膚の細菌叢が乱れ、防御力が低下、感染症から状態を悪化させるケースです。紫外線を浴びることで、皮膚の免疫力に大きく関わるランゲルハンス細胞が低下し、お肌の防御力が低下します。
また、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が汗と反応してタンパク質を分泌、このタンパク質が炎症反応を引き起こすことが、広島大学の研究結果で報告されています。さらに、掻き壊しなどによって、皮膚の防御力が低下すると、感染症に罹りやすくなります。
慶応義塾大学が黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の関係について研究結果を発表していましたが、感染症にかかることで、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるだけでなく、アトピー性皮膚炎の「病気の原因」も増強、それらが悪循環を形成することで、皮膚の状態を一気に悪化させやすくなります。
特に、これからの季節は、感染症の原因菌やウイルスが、湿度や気温の関係で増殖しやすい環境になりますから、皮膚の防御力の低下は、より感染症のリスクを高めることにつながりやすいと言えるでしょう。
そこで、まず大切になるのは、お肌の免疫力を「落とさない」ケアを考えていくことです。
- 適切な洗浄と スキンケアを行いましょう
- まず、必要になるケアは「洗浄」です。皮膚を洗浄することは、相応のデメリットも伴いますが(皮膚の常在菌のバランスを乱す、皮膚を乾燥させやすくする、など)、これから気温が上昇する季節は、それらのデメリットよりも、洗浄することで有害な菌を洗い流す、あるいは有害な菌が繁殖しやすくなった環境をリセットする、というメリットの方が大きいと言えます。
基本は、水洗い、汚れが強い場合には、ぬるま湯の洗浄、つまり「洗い流す」という行為です。ただ、汚れの多くは水溶性よりも脂溶性のものが多く、水やお湯で洗い流すだけで汚れが十分に落ちない場合には、石けんやソープなど、洗浄剤を使うことも必要になります。汚れを落とすために使われる洗浄剤の多くは、界面活性剤のため、洗い流す際に汚れと同時に乳化させた皮脂も一緒に落としてしまうため、どうしても皮膚のバリア機能を低下させてしまいます。
そこで、洗浄後は手早く、スキンケアも重ねて行うことを忘れないようにしましょう。このとき、必要なスキンケアは、皮脂の代わり、ということを意識して「保湿」を重視したケアにしましょう。ただし、油分が多いケアアイテムは、皮膚がベタベタして気持ち悪く感じることも多いと思います。オイル系の保湿アイテムよりも、保水アイテムの中で、保湿を並行して行えるアイテムを選択するようにしましょう。
- 感染症に気を付けた 汗対策にお勧めのケア
- 汗は、皮膚のスキンケアにとって、皮脂膜を形成するための大切な役割を担っていますが、同時に、アトピー性皮膚炎の方にとっては、痒みを誘発する要因になることもあります。
基本的には、汗はしっかりかいて、素早く拭きとることが大切になります。ただ、皮膚の防御力が低下していると、そこに痒みが加わることで一時的にお肌の状態を悪化させることもあります。適切な汗の対策を行いましょう。
- 汗対策の方法
- ● 温泉のおしぼり
大きめのタッパーにハンドタオルを10枚ほど入れて、温泉で浸して、冷蔵庫に入れておきましょう。汗をかいたら、ハンドタオルを取り出し絞ってから、肌を軽く冷やす程度に押しあてながら、汗を拭きとりましょう。
肌の熱をとることで、クールダウンにもつながります。また、外出時に、そこから2 ~ 3 枚を取り出し、軽く絞って、水筒や保冷容器に入れて持ち歩くと外出時の汗対策にも役立ちます。
● オイルよりも ローションでケア
オイルは、カバー力が強く、その分、肌の保温効果があります。そのため、汗をかきやすい時期は、オイルでケアを行うことで、肌に熱をため、汗がよりかきやすくなることがあります。
お肌の乾燥状況が強くなければ、オイル系のアイテムよりも、ローション系のアイテムを中心にスキンケアを行うようにしましょう。軽い乾燥が気になる場合には、保湿効果を持つジェル系のアイテムでも良いでしょう。季節に合わせて、適切なケアを行いましょう。
● 掻き傷が多い場合には覆うケアを
掻き傷が多いと、そうでない部位よりも皮膚の防御力が低下した状態になっているため、感染症のリスクは増えます。そこで、包帯などで覆いながらカバー力を高めたケアを意識しましょう。衣類などでもよいのですが、「蒸れる」ケアは逆効果になりますので注意が必要です。