秋にお肌の状態を ワンランクアップさせる |
- 秋は、一年の中で、もっともアトピー性皮膚 炎の状態が安定する方が多い時期です。 今年は猛暑や残暑の影響を受けている方も多 く、肌疲労に陥っている方は、注意が必要です。
- 肌疲労とは?
- まず、「肌疲労」とはどういった状態なのかを考えてみましょう。
肌の「健康」がどのように保たれているのか、 というと、それは皮膚のバリア機能が健全に機能 していることを指します
- 皮脂膜が不完全
じわっとかく汗の場合、汗腺の中にある皮脂腺からは皮脂も分泌されます。 そして、汗と皮脂は皮膚表面で乳化して「皮脂膜」ができます。 これが、基本的な「自分の力で行うスキンケア」ということになります。
したがって、汗をかくことはスキンケアにとっ て、とても大事なことです。 もっとも、皮膚に常在しているマラセチア菌の 影響を受けることで、汗をかくと痒みも出やすく なることがありますから、「汗のかきかた」「かい た汗の処理」には十分な注意が必要になります。 いずれにしても、この皮脂膜の形成が十分でない ことが、皮膚のバリア機能を低下させる一つの要 因になります。
アトピー性皮膚炎の方で、冬に症状が悪化しや すい方は、汗をかきづらい傾向を良く見受けます が、この皮脂膜が大きく関わっています。
- 細菌叢(フローラ)の乱れ
皮膚は、腸内と同じく、ヒトに無害で多様な細 菌(常在菌)がフローラ(細菌叢)を形成するこ とで、病原性を持った細菌の繁殖を防いでいます。 最新のアトピー性皮膚炎に関する研究において は、この細菌叢との関係が大きく注目されていま す。
皮膚の健全な常在菌(腸内でいえば「善玉菌」) が少なくなると、黄色ブドウ球菌やボービス菌(腸 内でいえば「悪玉菌」)など「悪い皮膚菌」が増 えてきます。 これらの「悪い皮膚菌」が出す毒素(排泄物) は、体内のIgEを増やすことが研究により確認 されています。「IgEが増えることはアレルギー 的な反応が強くなる」、ということを意味し、ア トピー性皮膚炎の発症、悪化の主要因となってい ます。
昔からのアトピー(成長と共に自然と治ると言 われていたアトピー)は、主にアレルギー的な要 因が元でアトピー性皮膚炎の発症につながってい ましたが、最近増加しているアトピー性皮膚炎(特 に成人型)は、この皮膚の細菌叢が乱れることで 発症することが分かってきたのです。 昔のアトピー性皮膚炎も今のアトピー性皮膚炎 も、症状の原因には「ア レルギー」が関与してい ますが、発症の原因は異 なる、ということです。
細菌叢を乱す要因は、 エアコン下での生活(皮 膚を乾燥させる)や化学 物質、睡眠不足、食生活 の変化、運動不足、スト レスなど、毎日の生活習慣の積み重ねが深く関わることが分かってい ます。
-
このように、健全な皮膚を維持するためには
「皮脂膜」「細菌叢」が重要なポイントとなります
が、夏の肌疲労は、これらのポイントに悪影響を
与え、秋以降の肌状態を悪化させる原因となって
います。
猛暑によって、エアコン下での生活が欠かせな
い状況では、皮膚の細菌叢は少しずつ乱れ、同時
に、エアコンの効いた室内での生活は汗もかきづ
らくなりますから、皮脂膜も十分に形成されづら
くなります。
また、熱帯夜による睡眠不足、また外に出ると 暑いことで運動する機会も遠ざかります。 食生活は、あっさりしたものが中心となり、 バランスの偏りが、皮脂の分泌を低下 させることもあります。
このように、猛暑により、肌を守 る機能が低下することが継続するこ とで、お肌は疲労した状態に陥ります。 とはいえ、ヒトの体は恒常性の機能を 保っていますので、ある程度の異常状態を耐える ことができます。コップをヒトの耐性、そしてコッ プに注ぐ水を異常状態と考えると分かりやすいで しょう。
コップが溢れるまでは、注がれる水(異常状態) を溜めることができますが、コップが満たされて しまえば、水は注がれる分、全てが溢れます(一 気に悪化する)。 今年の猛暑で肌疲労の状況にある方は、コップ が満たされるつつある状況です。 今にも溢れんばかりのコップは、ちょっとした 悪化要因が加わるだけで、一気にこぼれだすで しょう。
秋は、過ごしやすい季節ではありますが、角質 層の水分保持を低下させる強い要因である「乾燥」 が始まる時期でもあります。 夏場に「元気に過ごせた」方は、コップも空の 状態にあり、そうした悪化要因も溜めて耐えるこ とができます。しかし、夏場に肌疲労を作ってい た方は、一気に症状が「溢れだす」ことがあります。 それが、皮膚の炎症、赤みなどで肌に現れるわ けです。 では、肌疲労の状態にある方は、どのように改 善していけばよいのでしょうか?
- 肌疲労を 改善させるために
基本は、毎日の生活習慣です。 疲れた体を回復させるためにはどうすれば良 いのか、同じことを肌に対しても考えると良い でしょう。
十分な睡眠、バランスの良い食生活、適度な 運動、適温でのジワッとした汗をかく入浴、ス トレスの解消、これらを「繰り返し」行ってい くことで、お肌を回復させる「基礎」が積み重なっ ていきます。
それらの、あとぴナビメソッドの基本をしっ かり行った上で、疲れたお肌を適切なスキンケ アで「助けて」あげるようにしましょう。
水分が不足している方は保水を、炎症が多い 方は保護を、エアコンの下での生活が続いてい る方は保湿を、といったように自分に必要なケ アを適切なバランスで行うようにしましょう。