11月のアトピーケアのポイントとは |
- 気象庁のホームページでは、
1876年からの東京の相対
湿度が掲載されています。
そのデータでみると、最 近 10 年間( 2 0 0 4 年〜 2013年)の9月の平均湿度 は6 8・5%、10月が 66 ・3%、 11 月が 57 ・3%、1 2月が5 0・ 0%となっています。このデー タからは、湿度が急激に下が るのは11月に入ってから、と いうことがわかります。
ちなみに、1 0 0 年前、 1904年〜1913年の同 じ東京での平均湿度は、9月 が8 2・8%、10月が7 8・8%、 11月 が 7 2・0%、1 2月が6 6・ 9%でしたので、100年前
の1 2月の湿度が 現在の9〜10 月の湿度に当た り、お肌が乾燥 し始める時期が 早まっているこ とがわかります。
お肌にとって理想的な湿度 は6 5%〜7 5%で、乾燥を感じ るのは6 0%以下と言われてお り、11月に入るとお肌の乾燥 を気にし始める必要があります。
気候の変動は年により変わ りますが、最近の猛暑の影響 が見られる状況下においては、 統計上、湿度が6 0%を下回る 11月 か ら は し っ か り と 乾 燥 対 策を行うことが大切です。
そして、アトピー性皮膚炎 にとって「大敵」なのは、角 質層の乾燥に伴うさまざまな 影響です。
- かゆみを知覚する神経線維は健常な皮
膚においては、真皮内にとどまっていま
す。しかし、角質層の水分が不足した状
態(乾燥状態)に陥ると、その神経線維が
角質層内に伸びてきて、外部からの皮膚
への刺激を痒みと知覚しやすくなります
(ムズムズしたかゆみ、チクチクしたかゆ みなど)。この角質層内に伸びた神経線維 は、角質層内の水分がしっかり保持され た状態が続くことで、真皮内に戻ってい くことがわかっていますので、角質層を 「乾燥させない」対策が大切と言えるで しょう。
- 角質層が乾燥した状態は、本来、
レンガ状に綺麗に積み重なっている
はずが、すき間がいたるところにで
きて、外部から異物の侵入を許しや
すい状態を生んでいます。
こうした状態は、アレルゲンとな る物質の侵入の問題もありますが、 それ以上に心配なのが黄色ブドウ球菌による感染症の問題です。
先月号( 10月号)の特集でも取り上げた ように、ネイチャーの論文発表によると、 アトピー性皮膚炎の方は、9 0%以上が黄色 ブドウ球菌が定着し、デルタ毒素の影響を 受けやすい状態にあることがわかっていま す。
デルタ毒素は、肥満細胞からヒスタミン など炎症や痒みにつながる化学伝達物質を 放出させるだけでなく、IgEも増強する ことが確認されています(アトピー性皮膚 炎を「作り出す」おそれがあります)。
アトピー性皮 膚炎の症状改善、 そして予防のた めに、乾燥対策 とバリア機能の 強化に気をつけ ましょう。
このように、アトピー性皮膚炎の症状を 悪化させない、またアトピー性皮膚炎の状 態を改善していくために、角質層の水分を 保持させる「スキンケア」は大切であり、 特に11月からは、湿度の低下に合わせて、 保水と保湿を高めていくケアを考えていく ことが必要になると言えるでしょう。