アトピー基礎講座 アトピー性皮膚炎と温泉入浴 第1回 |
- あとぴナビでは、アトピー性皮膚炎克服に向けた生活面の柱として、「入浴」というアプローチを考えています。
アトピー性皮膚炎の原因には、大きく分けて「免疫機能の異常状態」、「皮膚機能の異常状態」の二つが考えられています。 「入浴」は、この二つの機能の異常状態、特に「免疫機能の異常状態」に対して、間接的なアプローチを行います。
アトピー性皮膚炎による「かゆみ」の要因の一つとして考えられるのは、体内のIgE(免疫グロブリンE)抗体と抗原の反応(抗原抗体反応) の結果生じた、ヒスタミンなどの化学伝達物質です。これらが皮膚下において炎症を生じさせ、その炎症が「かゆみ」を起こします。
- アレルギーは過剰な免疫反応
- 炎症などのアレルギー反応は、本来は誰もが持っている「免疫機能」といえます。健常な人の場合、
免疫機能によるアレルギー反応を「抑える働き」が正常なため、炎症やかゆみが起こりにくいのです。
アトピー性皮膚炎は「アレルギーを引き起こす免疫機能が強すぎるため起こる」といわれることがあります。 しかし実際は、むしろ「アレルギーを引き起こす免疫機能を抑える力が弱すぎる」からこそ生じていると言った方がよさそうです。
そしてこの「免疫機能」に強い影響を与えているのが、「自律神経」と「内分泌(ホルモン)」です。睡眠不足、化学物質の摂取、 代謝不足(運動不足)やストレスなど、毎日の生活の中には、自律神経や内分泌機能を低下させる(あるいは異常なほど高めることもある) 要因がたくさんあります。これらの要因によって免疫機能が異常状態となり、アトピー性皮膚炎などにつながってきます。
- 入浴で体の機能を正常化
- アトピー性皮膚炎を克服していくために必要なのは、この「自律神経」と「内分泌」の機能を正常な状態に戻すこと。
免疫機能を低下させる原因は日常生活の中にあります。「睡眠」「食事」「運動」「ストレスの解消」といった毎日の生活を見直して、
マイナス要因を排除することが大切です。
症状が軽度ならば、生活習慣を見直すだけでこれらの機能が自然に回復し、「アトピー性皮膚炎が治った状態」に導くことが可能です。 しかし、症状が慢性化した場合は、それらの機能を高めるための「攻め」のアプローチが必要になることがあります。その「攻め」の アプローチとして、「入浴」、特に「温泉入浴」という方法を用いるわけです。
- 入浴は身につきやすい生活習慣
-
水道水の入浴では影響が弱いのですが、温泉入浴では、温泉が持つ物理的作用、温熱作用、含有化学成分の作用の3つが複合することで、
「非特異的変調作用」という働きが体に生じます。「非特異的変調作用」は他の作用とともに、自律神経や内分泌機能を正常化させようと体に働きかけます。
自律神経や内分泌機能が正常に機能すれば、それらの影響下にある免疫機能も正常に働き、アトピーの症状も出にくくなります。
入浴は、昔からの日本人の生活に根づいたものです。だから、毎日行える生活習慣として反復継続して行いやすいと言えるでしょう。
だからといって、ただお風呂に入ればよいというものではありません。アトピー性皮膚炎克服のために行う「入浴」は、入浴温度、入浴時間、 入浴回数、入浴環境など、いくつもの条件が整わないと逆にマイナスの影響を体に与えることもあるので注意が必要です。
次回は、入浴の条件の一つである「入浴温度」について考えていきましょう。