アトピー基礎講座 アトピー性皮膚炎と温泉入浴 第3回 |
- 温泉入浴の体への効き方
- 温泉入浴による体へのよい効果として、「血流をよくする」「内分泌を高める」「自律神経の働きを整える」などが考えられます。
いずれも、疾患に対して直接影響を与えるものではありませんが、疾患を治していく際に必要な自己治癒力を高めていると考えてよいでしょう。
自己治癒力を高める効果は、どのような入浴方法でも等しく得られるわけではありません。温泉入浴に特徴的な「非特異的変調作用」は、 最初は含有化学成分による刺激などで得られる変調幅が大きく、それが瞑眩現象(好転反応)と呼ばれる一時的な体調の不調につながることがあります。
そういった変調は、刺激に慣れることで少なくなります。同時に、変調により生じる体の各機能の正常化の幅も小さくなります。
しかし、温熱刺激、含有化学成分による刺激そのものに対する生体の反応はなくなりません。 変動幅の小さな刺激を積み重ねることより、じっくりと体に影響を与え続けます。
したがって、入浴回数と入浴時間を多くすれば、体への「よい変調」を多く受けることができるのです。
- 入浴の効果と回数・時間の関係
- 例えば、1日1回、夜だけ1時間の入浴を行う場合と、1日2回、朝晩30分ずつ、合計1時間の入浴を行う場合では、
同じ1時間の入浴ですが、生体への影響は後者の方が大きくなります。なぜなら、体が受けた刺激の影響は時間の経過と共に弱まるため、
入浴回数を増やすほど体に影響し続ける時間も増えるからです。
「温まり方」という点を考えてみると分かりやすいでしょう。入浴直後は、血流がよくなり、体も温まりますが、 やがて時間を追うごとにその効果は薄れてきます。
入浴時間が長いほど、温まっている時間も長くなりますが、入浴後は数時間で体は冷えていきます。仮に1回の入浴で4時間体が温まった状態を維持できても、 次の入浴までの20時間は体が「冷えた時間」なります。
一方、朝晩に入浴を行った場合、1回の入浴につき体が温まった状態が2時間であったとしても、次の入浴が12時間以内に行われるため、 結果的に「冷えた時間」は10時間ですみます。
複数回の入浴を行えば、体が冷えている時間の間隔が短くなり、入浴効果がより持続します。
実際に、アトピー性皮膚炎の患者さんが温泉入浴を行った場合も、1日2回以上の入浴を行ったほうが回復に効果的であるという傾向があります。
入浴時間についても、一定の負荷をかけることで体へ「よい変調」を与えてくれるため、短いよりも長めの方がよいと言えるでしょう。
- 過度の入浴は逆効果に
- ただし、個々の許容範囲(体調や体力)をはるかに越えた入浴を継続していくと、体に負担がかかりすぎて逆効果となります。回数が多ければ多いほどよい、 あるいは長ければ長いほどよい、というものでもありません。
- 体調や体力には個人差がありますから、自分の状況に合わせて増減していきましょう。
入浴回数と入浴時間は、ある程度の負荷(体の変調)が与えられるように行う、ただし負荷をかけすぎないように注意することが大切です。
次回は、「入浴方法」について考えていきましょう。