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食物への接触がアレルギー反応を引き起こす

このニュースのポイントは2つあります。まず、食物アレルゲンは、摂取（食べること）だけでなく、皮膚への接触によってもアレルギー症状を引き起こすこと。そして、皮膚への接触によるアレルギー反応には、ＴＳＬＰ（Thymic stromal lymphopoietin）というたんぱく質が関与していることです。ＴＳＬＰとは、サイトカイン（細胞間の情報を伝達する物質）の一つ。過去、他の研究では、アレルギー発症のマスタースイッチとして注目されていた物質です。

食物アレルギー対策は家族全員で

食べ物が皮膚に接触することでアレルギー反応を起こすことは、これまでにもわかっていました。あとぴナビで連載中の「乳幼児とアトピー」などでも、角田和彦先生（かくたこども＆アレルギークリニック院長）が再三指摘してきたことです。　
食物アレルギーの患者さん自身がアレルゲンを摂取しなくても、同居する家族がアレルゲンとなる食物を食べれば、その食べかすなどが患者さんの皮膚に付着することでアレルギー反応を起こしてしまいます。　だから、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を併発している場合は（特に乳幼児）、家族全員が食物アレルギーの対策に協力する必要があります。本人だけではなく、家族の方もアレルゲンとなる食物を食卓に持ち込まないようにして、皮膚への接触が起こらないように気をつけることが大切です。　
アレルゲンとなる食品を食べていないのに、アレルギー検査で特定の食物に対するアレルゲン数値が高い場合があります。そんな場合は、アレルゲンとなる食品に接触する機会はなかったかを検証してみましょう。

TSLPがなければアレルギーにはならない？

兵庫医科大の研究では、皮膚接触によるアレルギーにはTSLPが関与しており、TSLP が働かない状態では食物アレルギーが起きなかったと報告されています。では、TSLPというたんぱく質はアレルギーの原因と言ってよいのでしょうか？　
例えば、赤ちゃんや子どもが成長するにつれて食物アレルギーが軽減されることがあります。その際に体内のTSLPがどのように変化しているのか、もちろんこの動物実験ではそこまではわかりません。現段階では、TSLPがアレルギーの原因とまでは言えないでしょう。今後の研究成果に期待したいところです。　
さらに、アトピー性皮膚炎の原因は、食物アレルゲンのみが関与しているわけではありません。食物アレルゲンに気をつけることはもちろんですが、生活環境におけるその他の様々なアレルゲン、さらには皮膚の機能（バリア機能や乾燥状態など）も並行して考えていく必要があります。

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