抗ヒスタミン薬にステロイドが含まれている場合も! |
監修:加藤 三千尋 薬剤師 漢方(中医学)の発想を取り入れた日常生活を提唱している。 主な著書に「薬剤師があなただけにソッと教える薬の裏話」(マイクロマガジン社)など。 |
- 今年の春先は、花粉の飛散量が去年の5倍になる見込みと発表されました。 アトピー性皮膚炎の患者さんには、花粉症を併発している人も多いでしょう。 そんな方々に注意してもらいたいのが、「アトピー性皮膚炎のかゆみ止め」や 「花粉症の治療」として処方される飲み薬。中には、ステロイド薬の成分が含まれているものも。 ステロイド薬が含まれた抗ヒスタミン薬に気をつけましょう。
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アトピー性皮膚炎の治療だけでなく、花粉症の治療でも処方
される薬に「セレスタミン」があ
ります。
セレスタミンは、抗ヒスタミン薬である「d─ クロルフェニラミン」と、ステロイド薬 (副腎皮質ホルモン)である「ベタメタゾン」の2成分が配合された薬。
1錠あたりに含まれるベタメタゾンは0.25mg。単体のステロイド薬の飲み薬と比べれば 少ないのですが、飲み薬は外用薬と違って確実に体内に吸収されるもの。さらに一定期間継続 服用することで、その影響は蓄積されていきます
- 良くなっていると思っていたしかし、止めた途端に「リバウンド」
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特に問題なのは、医師から処
方を受ける際に「抗ヒスタミン
薬」として処方されるケースが
あることです。
こんな例があります。医師に
「ステロイドは使いたくない」
という意思を伝えた女性の患者
さんがいました。医師も快く了
解。「それでは、非ステロイド
系の軟膏を出しましょう。かゆ
み止めで飲み薬も出しておきま
すね」と薬を処方してもらいま
した。
当然「ステロイドは使いたく ない」という意向を認めても らったうえでの薬の処方と思っていましたが、2〜3日飲んで みて、どうも効き方がおかしい なと思いました。調べてみると、 かゆみ止め2種類の錠剤のうち 「セレスターナ配合錠」にはステ ロイドが含まれていました。つ まりステロイド配合薬だったの です。
セレスターナ配合錠には抗 ヒスタミン薬の成分が含まれて いるので、抗ヒスタミン薬とし て処方することは誤りではあり ません。しかし、ステロイド薬 治療を望まない患者さんに対し て、「ステロイド薬」が配合され ていることを告げずにセレス ターナ配合錠を処方することに は問題があるのではないでしょ うか?
実際に、花粉症治療でセレス タミンを1〜3カ月服用し、花 粉の時期が終わり使用を中断し たところ、ひどいリバウンド症 状が現れたというケースがあり ました。また、アトピー性皮膚 炎の治療でセレスタミンを服用 し、やめたらリバウンド症状が 現れたというケースも数多く報 告されています。
- ジェネリック薬だと全く気づかないケースも多い
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最近、もう一つ深刻な問題と
なっているのが「ジェネリック
(後発医薬品)」です。
セレスタミンは先発医薬品な ので、セレスタミンと同じ主成 分を含んだジェネリック薬も多 数発売されています。セレスタ ミンにステロイド薬が配合され ていることをすでに知っている 患者さんでも、ジェネリック薬 となると全く気づかずに使用し てしまうことがありますインターネットの普及によ り、薬の情報も手軽にWebで 検索できるようになりました。 処方された薬が不安な場合、抗 ヒスタミン薬を処方された場合 には、ご自身で調べてみること も大切でしょう。