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こんにゃくから抽出したセラミド

前号（2月号）でお伝えした“こんにゃく芋セラミド”の最新研究には、たくさんの反響をいただきました。そして、記事中でふれたコラーゲンについても詳しく知りたいというご意見がありました。美肌に欠かせないコラーゲンとセラミドの最先端をお伝えします。

こんにゃく芋セラミドの2つの働き

肌の角質層で保湿とバリア機能を担うセラミドは、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の症状改善の鍵となる脂質成分です。　
セラミドは様々な食品中にも含まれていますが、その含有量が断トツに多いのがこんにゃく芋。でも、こんにゃく自体を食べてもほとんど消化されずに排泄されるので、セラミドは体内に入ってきません。そこでこんにゃく芋から抽出したセラミドをサプリメントなどで摂取すると、肌のセラミドが増えます。この仕組みが解明されたことは前号でお伝えしました。　
こんにゃく芋から抽出されたセラミドは、体内で糖・脂肪酸・スフィンゴシン（長鎖アミノアルコール）に分解され、スフィンゴシンの働きで皮膚のセラミドが作られます。体内でセラミドを増やす主役はスフィンゴシンですが、スフィンゴシンには、もう一つ重要な働きがあることがわかってきました。それは、体内のコラーゲン産生を促進させるという働きです。

繊維芽細胞がコラーゲンを作る

こんにゃく芋セラミドとコラーゲンの話をする前に、コラーゲンについて簡単におさらいをしておきましょう。　
コラーゲンは繊維状のたんぱく質で、いわば体や臓器を作るための素材と言えます。体の様々な組織（皮膚、骨、血管、内臓など）に含まれており、体を構成する全たんぱく質の約3 0％を占めています。コラーゲンの約4 0％は皮膚の真皮層にあり、皮膚に弾力と柔軟性をもたらしています。　
美肌成分の代名詞とされているコラーゲンは、体の他の臓器と同じように加齢とともに新陳代謝が衰え量も低下していきます。コラーゲンが減ると真皮の細胞が減り、コラーゲンによって支えられていたヒアルロン酸も減少していきます。これらが皮膚のシワやたるみ、肌あれの原因となっているのは皆さんもご存知でしょう。　
皮膚のコラーゲンは、繊維芽細胞によって作られます。加齢や紫外線などのダメージによって繊維芽細胞が小さくなったり数が減ったりすると、弾性のあるコラーゲンも減っていきます。したがって、皮膚中の繊維芽細胞を活性化することが、コラーゲン増加につながると考えられます。

こんにゃく芋セラミドはコラーゲンを増やす

こんにゃく芋セラミドから分解されたスフィンゴシンがコラーゲンにどのように影響しているかを知るために、2つの実験（ユニチカ中央研究所による）が行われています。最初はラット（ネズミ）を使った実験です。こんにゃくから抽出したセラミドを与えたグループと与えないグループに分けたところ、セラミドを摂取した方のコラーゲン量は約2倍になり、コラーゲンの増加が認められました。　次の実験は、培養されたヒトの繊維芽細胞を使った実験です。繊維芽細胞に、こんにゃく芋セラミド、こんにゃく芋セラミドの分解物（スフィンゴシン）、動物性セラミドの分解物（スフィンガニン、4-スフィンゲニン）をそれぞれ培養したところ、こんにゃく芋セラミドの分解物(スフィンゴシン)顕著に繊維芽細胞とコラーゲンを増やす作用が認められました。 　

ラットの実験では、こんにゃく芋セラミドを食べることによって皮膚のコラーゲン量が増えることがわかりました。ヒトの細胞を使った実験では、繊維芽細胞を活性化させるのは、スフィンゴシンであることがわかりました。総合すると、こんにゃく芋セラミドの分解物であるスフィンゴシンがコラーゲンを増やしていると考えられます。
　　　　　
今回紹介した実験と、前回紹介した研究（こんにゃく芋セラミドの摂取によって皮膚セラミドが作られること）から、こんにゃく芋から抽出したセラミドを摂ると、セラミドとコラーゲンが両方増えることがわかります。角質層のセラミドと真皮のコラーゲンをともに増やすこんにゃく芋セラミドは、皮膚の健康の強い味方といえるでしょう。

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