あとぴナビ/スペシャルインタビュー |
取材・文/柿原恒介 、撮影/橋詰芳房 |
PROFILE 幼児期をグアム島で、7歳から14歳までをハワイで過ごす。1982年歌手デビュー。『夏 色のナンシー』『PASSION』などのヒット曲がある。1990年、上智大学比較文化学部 卒業。映画、TV、ミュージカル、舞台、トークショー、ライブなどさまざまな分野で活躍 中。著書に『楽しむアメリカン育児』(集英社be文庫)などがある。 公式ブログ http://ameblo.jp/hayami-yu/ |
- 歌手として、バイリンガルタレントとして親しまれている早見優さん。 最近はママドルとしても大人気。さまざまな活躍が注目されています。 いつも幸せな笑顔を振りまく早見さんの素顔に迫ります。
- 7歳から14歳まで、ハワイで育った早見さん。「幼少の頃、両親が離婚しまして。父は日本でジャズ歌手をしていたため、母親と祖母に育てられたんです。」特別な家庭と思うことはあまりなく、ハワイでの3人の生活はとても幸
せだったそうです。
「父とは2〜3年に一度、帰国したときに 会っていたのですが、父の歌は小さいとき からずっと大好きでした。一時、父が歌手 をやめていたときがあったのですが、何気 なく私が言った"歌えばいいのに"という 言葉で、歌手に復帰したそうなんです」。
15歳のとき、ハワイでスカウトされたの がきっかけで日本に帰国、アイドル歌手と してデビュー。その後はレッスンやテレビ 番組出演などの多忙な生活が始まります。 日本とは異なるアメリカの文化に長く馴 染んでいたので、日本のバラエティ番組の 笑いが理解できず、ハリセンで頭を叩かれ るときにも、「何が面白いの?」と悩む日々 だったとか。自己主張をするのが当たり前 という社会で育ったため、「頭は叩かれたく ないです」「イヤです」とはっきりと言うこともあったそうです。 そのため、次第に「可愛くない」「生意気 だ」とスタッフにささやかれることも。
「今思うと、もっと素直に言うことを聞いて いればよかったんですよね(笑)。意見をはっ きり言うことは、アメリカでは当たり前 だったけれど、日本では必ずしもプラスで はない、とわかって、周りに合わせられるま でには15年ぐらいかかりました。アメリカ では、たとえ30人のクラスのうち、29人と 意見が違っていても、言わないより言った ほうがいい、という考え方なんです。でも、 日本では協調性をもって我慢することで、 大きなプロジェクトも達成できるというこ とを理解していきました」。
- ■ 「売れるだけが歌じゃない」 父の言葉に励まされて
- 高校卒業後は、
「勉強なんてしなくていい
のに」という事務所を「仕事と両立するか
ら」と説き伏せ、大学にも進学しました。
「周りの人とはどこかが違う」という違和感
を抱えながら、浮き沈みの激しい芸能界で
アイドル歌手を続けていましたが、20歳の
とき、事務所には「売れないから、歌はやめ
る方向で考えてくれ」と言われたこともあ
ります。
「ものすごくショックでした。お芝居もやり ましたけど、やっぱり大好きな歌を続けた い……という気持ちがありましたから。そ んなとき父が、"売れるだけが歌じゃない。 一人でも聴いてくれる人がいれば歌えば いい"って言ってくれて、救われましたね」。 その言葉に力を得て、22歳のときから、 数々のミュージカルの主演を務めるように なります。特に『レ・ミゼラブル』はヒロイ ンのコゼットを演じ、高い評価を得ました。 公演は1年、また1年と延びたそうです。 1996年、30歳のとき、交際を続けて いた高校の先輩と結婚。妊娠がわかって からも、出産2カ月前までは仕事を続け ました。
母、祖母ともに仕事を持ち、女手ひとつ で子育てをしていたため、自分も仕事を持 ち、自立したいと考えていたのです。たと え結婚しても仕事を続けるのは当たり前の ことに思えました。15歳から休まず仕事を続けていました が、出産に備えて、初めて産休を取得。そ の後も2人のお子さんを育てながら、仕事 に復帰、活躍されています。
「2人の娘を出産した後、仕事と育児で自 分の時間が削られるのはストレスでした。 育児していると、1日中、子どもとしか話 さない日もありますよね。〝誰か大人と話 した〜い!"ってなります。そんなときは、 夫婦のコミュニケーションがすごく大切だ と思いますね。帰ってきて夫が"今日1日 どうだった?"って15分話を聞いてくれる だけでいいんですよね。最初は〝仕事も、 育児も"と一人で頑張ってしまって、夫に 対して、"私が大変なのが見てわからない の!?"ってイライラすることもありました けど、実際夫は理解できないんですよね (笑)。だから一人で不満をためないで、素 直に手伝ってもらえばいいんだなって」。
- ■ 子どもと一緒に発見の毎日 歌も楽しんで続けたい
- 2人の娘さんも今は7歳、6歳。子育て
も少し楽になってきたとか。
「私はかなり計画魔なんですよ。子ども
と遊ぶにも、公園に行ったら、ブランコに
乗って次は…と、つい予定を立ててしまい
ます。でも、子どもは、公園に着いたとた
んに蟻に夢中になって、気づいたら45分も
ずっと見ていたり(笑)。子どもを育てるこ
とで、人生って計画通りいかないんだなっ
て思いました。それから、意外に一緒に蟻
を見ていると自分にも発見があるんですよ
ね。最近は子どもがよく話すようになって、
子育てが楽しいです。2人とも性格が全然
違うので面白いですよ。仕事の方も、タレ
ント活動のほかに、大好きな歌の仕事が充
実していて、いいバランスが取れています。
昔の同期とコンサートをしましたが、とて も楽しいですね。昨年は西城秀樹さんや、 野口五郎さん、松本伊代ちゃんともご一 緒しました。伊代ちゃんは"歌なんて今さ ら……"って言いながらも、よく勉強して くるんですよね。刺激になっています。父 とは今も一緒にジャズコンサートを開いた りして、とても仲がいいんですよ。これか らもずっと歌は続けていきたいですね」。
ジャズやオールディーズを歌うコンサー ト活動のほかに、「親子で楽しみながら英語 に親しめるCD」を自ら企画。実際に娘さ んに歌って聞かせていた自作の歌も収録し ました。最近では、ママドルプロジェクト として、松本伊代さんと「キューティー★ マミー」を結成し、元気いっぱいのユーロ ビート&ヒップポップを歌うCDや、パラ パラを踊るDVDも発売、親子で楽しめる と大人気です。
「子どもにも、仕事の楽しさを知ってほしい し、自立した人になってほしい」――。しな やかにライフスタイルを変えながら、子育 ても仕事も楽しんでいる早見さん。これか らもますます輝いて、ママたちのアイドル でい続けてほしいですね。