連載 自然食を極める 第1回 |
- 九州ホスメックリカバリーセンター・「食」の10年とこれから
- アトピー専門の温泉湯治施設・九州ホスメックリカバリーセンター(HRC)では、アトピー克服の体作りを支える「食」を提供し続けてきました。今年は開設10周年という節目の年。九州HRC料理長・佐藤シェフに、今まで提供してきた「食」と、今後の展開について話を聞きました。
- 九州ホスメック・「食」の10年
- ■「体に安全な食」を第一に
―― 今までの10年間、最も力を入れてきたことは?
佐藤 私自身がアトピーに悩み克服した経験を持っています。その経験からも「食」の大切さを痛感しています。何よりもまず、「体に安全な食」を提供したいという一心でした。
―― 佐藤シェフが考える「体に安全な食」とは?
佐藤 その土地でとれた食物をできるだけ旬の時期にいただく「身土不二(しんどふじ)」という考え方が基本です。
―― 自分が住む風土に合った伝統食だけを食べるのですか?
佐藤 あまり堅苦しく考える必要もないでしょう。食事は美味しく楽しく食べることが大事です。食べたくないものを無理して食べるのもストレスになります。私は「身土不二」の基本を忘れなければ、イタリアンでもフレンチでもOKと考えています。そんなスタンスで、美味しく楽しめる「プロの家庭料理」を提供しています。
それから宿泊客の皆さんに「ホスメックが考える理想の食生活10カ条」を提案しているので、毎日の食生活の参考としてください。
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~ホスメックが考える理想の食生活10カ条~
1. お米はしっかり食べ、できるだけ未精製のものを使用
2. 砂糖や塩は未精製のものを使用
3. 副食は野菜中心にし、できるだけ旬のもので安全な野菜を使用する。
4. 発酵食品を取り入れる
5. 肉を減らす。食べる際は薬剤など不使用なものが望ましい
6. 良質の油を使用する。揚げ物は控えめに
7. 料理の命である水は自然水(ミネラルウォーター)が理想的
8. 食事はゆっくりかんで食べる
9. 食事の時間は、規則性を持って食べる
10. お腹をすかせて食べる(消費と供給のバランス)
- ■こだわりの食材、調味料
―― 食材選びは大切ですよね。
佐藤 食材は基本的に天然・オーガニックのものを使っています。米は、地元無農薬の七分つき米に13種類の雑穀をまぜています。料理に使う水はもちろん豊泉水(飲める温泉)ですね。
―― 食材の仕入先は?
佐藤 日本オムバスの専用農園や地元の信頼できる農家などです。
―― 最近、土壌の硝酸態窒素が問題になっています。
佐藤 硝酸態窒素が多く含まれる野菜は使用していません。安全な食材を入手するためには、妥協を許さずに生産者を選び抜いています。
―― 調味料に関しては、ブランドまで作ってしまいました。
佐藤 調味料には徹底的にこだわり、地元食品メーカーの協力を得て厳選したものを使用しています。食事で摂取される化学物質の大部分は、調味料から摂られています。化学物質に過敏になっているアトピー性皮膚炎の方で、安全な調味料に替えただけで症状が改善したという例も数多く報告されています。そう考えると、安全な「食」のカギは調味料にあるといえますね。