乳幼児とアトピー第3回 赤ちゃんのための花粉症対策 |
監修:角田和彦 かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。 1979年、東北大学医学部卒業。専門は臨床環境医学・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。 著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『角田こども&アレルギークリニックのやさしいレシピ』、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)などがある。 |
- 子どもの花粉症が増えています。かくたこども&アレルギークリニックでは、15年程前から0歳児の花粉検査を行ってきました。その頃から1歳児でスギやイネ科、キク科などの花粉に陽性を示す子どもが増えてきたからです。0歳児の花粉検査では、生後8カ月で花粉に感作(検査で陽性を示し、アレルギー症状を起す準備状態)している赤ちゃんもいました。
花粉症の発症時期が低年齢化している原因はまだはっきりしていません。考えられることは、胎児期からアレルギーを起こしやすい状態で生まれてくる可能性があること、生活空間の中に花粉や汚染化学物質などが増えていることなどです。
乳幼児の花粉症対策では、子どもが大人に較べて床面に近い位置で生活していることを考慮します。床に花粉、ほこり、ダニ、カビ、ペットの排泄物などの汚染源がある場合は、大人よりも大量に吸い込んでしまいます。特に花粉と汚染化学物質を同時に吸い込むと、アレルギーが誘発される可能性は高くなります。室内になるべく花粉が入らないように注意すると共に、特に床まわりは丁寧に掃除機をかけましょう。
- スギ花粉エキスを少しずつ体内に取り入れて免疫を誘導し、症状を起こしにくくする舌下免疫療法が、2014年春より保健適応となります。これは、花粉に対する抵抗力を強くするために花粉エキスを投与し免疫を作る減感作療法の一種ですが、日本人は昔から同じような方法で花粉アレルギーを抑えてきたと言えます。
野菜などに花粉と同じたんぱく質が含まれていると、これらの食品を食べてアレルギー反応を起すことがあります。この現象を利用して、逆に花粉症を軽減することができるのです。
昔から日本人には、身近で育った植物の葉や茎、実、種を加熱、発酵させて食べる習慣がありました。たんぱく質を含む食材を多く食べるとアレルギーを起こすことがありますが、加熱したり発酵させることで抑えてきたのです。