乳幼児とアトピー第6回初夏のカビ・ダニ対策 |
監修:角田和彦 かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。 1979年、東北大学医学部卒業。専門は臨床環境医学・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。 著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『角田こども&アレルギークリニックのやさしいレシピ』、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)などがある。 |
- 赤ちゃんは、1歳ぐらいから体内に
吸い込むものに対するアレルギーが
明らかになってきます。ダニ、ホコリ、
カビ、化学物質、花粉などなど。生活
空間にはアレルゲンとなりうる物質
でいっぱいです。 初夏を迎えようとする今の季節は、
湿気によりカビが繁殖しやすくなり、
暑くなるほどダニも増えてきます。衣
替えなどで、押入れやタンスの中から
これらのアレルゲンが飛び出してく
ることも考えられます。
- カビやダニの話をする前に、赤ちゃ
んが1日の大半を過ごす寝具につい
て説明します。赤ちゃんの体は水気
が多く、そして汗っかき。おしっこも
いっぱいしてオムツも湿りがちとな
ると、寝具の周りはダニやカビが繁
殖しやすい環境となってしまいます。
敷きっぱなしの寝具で寝たきりの赤
ちゃんの背中やおしりの下にカビが
生えてしまうこともあります。だか
ら、まず寝具を整えてあげることが大
切です。
ベビーベッドを使っている場合、一 枚板の敷板の上に直接布団を置くと、 湿気を逃がすことができずに、寝具と 板の間にカビが生えやすくなります。 そこで、敷き布団と下板の間に通気性 のよいものを挟みます。
例えば、布団カバーのなかにパイプ 枕用のパイプを詰め込めば、通気性の いいマットレスに早替りします。間に 挟むものは、通気性がよくデコボコし ていなければよいので、家庭にあるものでいろいろ工夫してみるといいで しょう。
また、ベビーベッドの敷板に、木材 チップを接着剤で固めたパーティク ルボードが使用されていることがあ ります。その場合は、接着剤のホルム アルデヒドが揮発してしまいます。化 学物質が揮発しないムク材などに換 えてあげると安心です。
床に直接布団を敷いている場合も 考え方は同じで、布団と床の間の通気 性が保てるように工夫してください。 通気性のよい布団やマットレスを選 んであげるのもよいでしょう。
- もちろん布団まわ
りの掃除はこまめに
行います。寝具の乾燥
も大切です。寝具を外
に干すとホコリや花
粉が大量につくので、
なるべく室内で干し
ます。
乾燥機があれば利 用してもよいですが、 乾燥した寝具からは ホコリが取れやすくなるので注意が必要で す。ここでホコリを取 ろうとして寝具を叩い てしまうと、寝具の内 部に入り込んでいたダ ニやカビが表面に出て きて症状悪化につなが ります。だから、乾燥後 には必ず掃除機をかけ ましょう。
寝具に掃除機をかけ る場合、ふとん専用のノズル(家電メーカー各社から様々な 製品が出ています)を使います。イラ スト(右下)のような要領で、かけの こしがないように丁寧に両面に掃除 機をかけます。特に寝具の端はほこり がつきやすいので念入りに。掃除機を かける時間は、片面1分くらいが目安 です。
育児中のお母さんは、何かと忙しく 大変なので、できればお父さんがフォ ローできると理想的です。大きな兄弟 がいれば、お手伝いしてもらいます。 アレルギー対策は家族全員が理解し て、お互いを支えあいましょう。