保水・保湿・保護を知ってスキンケア |
- アトピー性皮膚炎の方の肌状態は、乾燥やジュクジュク、赤み、掻き傷、また症状が出ている部位も個人ごとに異なるなど、個人差が大きいことが特徴です。
また、ステロイド剤やプロトピック軟膏など免疫を抑制する薬剤の使用状況によって、黄色ブドウ球菌やヘルペスなど感染症に罹りやすくなっているかどうかも、異なってきます。
皮膚のバリア機能を正常な状態に保つことが、アトピー性皮膚炎の方のケアを考えていく上では最も大切になりますが、正常に保つためには、お肌の乾燥、保湿の状態、感染症の状況、掻き傷の状況など、個々の状態に合わせたケアを行うことが大切です。
お肌のケアを行うスキンケアアイテムは、配合されている成分や形状などにより、その使用目的も適した肌状態も異なりますし、何より「自分の肌に合っているかどうか?」が判断のベースとなることは確かですが、あとぴナビの数多いケアアイテムの中からどのアイテムを選べばよいのか、最初の目安となる「スキンケアアイテムの選び方」について説明しましょう。
「スキンケア」とは、本来、お肌が持つ機能が低下している場合、その機能を「補う(ケア)」ために行う手段です。そこで、アトピー性皮膚炎の方が、スキンケアアイテムを選ぶ際、まず基本となるのが、お肌に「何を補えばよいのか」を把握することです。そのために、アトピー性皮膚炎の方の肌にとって、どういった機能が低下しているのかを説明しましょう。
- アトピー性皮膚炎の方の肌と健常な方の肌と、最も大きな違いが、「表皮の水分量」と言えるでしょう。
アトピー性皮膚炎という疾患の大元を考えると、表皮育成因子が不足していることでバリア機能が低下、そこから水分保持ができずに、角質層の水分量が低下する、という流れになりますが、アトピー性皮膚炎の方の肌を「結果」として考えた場合、最も重要なポイントが、この「水分」になる、ということです。
アトピー性皮膚炎の方には、お肌のフィラグリンやセラミドが不足していることが研究で分かっていますが、これらの因子は角質層内に水分を保持するために必要な因子です。つまり、表皮を育成する因子が不足していることからバリア機能が低下した状態が現れ、加えて角質層の水分保持能力が低下していることで、バリア機能をさらに低下した状態に陥らせます。そして、黄色ブドウ球菌などの定着を招くこと、さらには角質層内の水分不足は本来真皮内に留まるはずの痒みを知覚する神経線維を角質層内に侵入させてしまい、お肌に対する「刺激」を痒みと知覚しやすい状況を生み出します。そういったことから掻き壊しが生じやすくなって、バリア機能の低下をさらに強くすることが、アトピー性皮膚炎発症のメカニズムの一つと考えられています。
そこで、キーポイントになるのが角質層の「水分」つまり「保水」です。アトピー性皮膚炎の方の症状でみると、乾燥した状態、カサついた状態はもちろん、この「保水」が必要なのですが、ジュクジュクした炎症など一見、水分の不足が関係しない状態に見える肌でも、角質層内の「水分量」が保たれていなければ、結果的にバリア機能が維持できないことになるため、「保水」を考えることはとても重要になってくるのです。
アトピー性皮膚炎のお肌にとって、そのケアを考えていった場合、お肌の状況、症状に関わらず共通して必要な要素とは「水分」であり「保水」がアトピー性皮膚炎のスキンケアの「基本」となります。
そして、「保水」とは、あくまで角質層への「水分の供給」が目的となりますので、水分を多く含むアイテム、ジェルやローション系のアイテムを選択することが必要になります。