夏のアトピー対策 |
- 冬から春にかけては、大気の乾燥から角質層
の水分蒸散量が増加、バリア機能が低下するこ
とで、皮膚が異常な細菌叢を形成します。そして、
黄色ブドウ球菌などによりIgEが増加するこ
とで、アレルギー的な要因からアトピー性皮膚炎
の症状が悪化します。
夏の時期は、湿度が上昇することで、角質層 の水分蒸散量は冬の時期と比べると低くなりま すが、汗や紫外線など、違った悪化要因が増え ます。やっかいなのは、悪化要因が増えることで アレルギー的な要因も増加、痒みや炎症が増悪 しますが、同時にアトピー性皮膚炎の症状を悪 化させる原因となる感染症を引き起こしやすく なることです。
特に、黄色ブドウ球菌の感染症が増悪すると、 直接、IgEを増強することにもなりますし、ヘ ルペスウィルスが原因となるカポジ水痘様発疹 症は、皮膚症状だけでなく、高熱や痛みなど全 身症状の悪化を伴います。
外的な環境は、湿度と気温が高まることで、 こうした細菌やウィルスが増殖しやすくなってい るため、いったん感染症に陥ると、そこからの回 復には、薬剤による治療が必要になることも少 なくありません。
まずは、これからの時期、感染症の悪化につ ながるような、「肌の悪化要因」をできる限り少 なくし、対処するように心がけていきましょう
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対策で必要なのは、まず「汗対策」
です。
汗は、皮膚のスキンケアの役割︵皮
脂と汗が乳化することで弱酸性の皮
脂膜を形成する︶を担っていて、「不
必要」なものではありません。しか
し、平成2
5年6月には、広島大学が、
マラセチア属真菌が関係するヒトの
汗の中に含まれるヒスタミン遊離活
性物質︵汗抗原︶がアトピー性皮膚
炎の悪化要因であることを突き止め
た研究発表を行ったように、汗は、
痒みを引き起こす原因の一つと言え
ます。
気温の上昇と共に、汗をかきやす くなり、そして湿度が高くなること で、かいた汗が皮膚に溜まりやすく なる、この状態で痒みが強くなると、 掻き壊しからバリア機能が低下、感 染症が増悪しやすい環境につながる と言えるでしょう。 かいた汗は長時間放置しないよう にしましょう。