冬前のアトピー対策、準備ケア |
- ●●● 乾燥時期の スキンケアの基本は「水分」
- 皮膚の角質層にとって、バリア機能を維持させていくためにもっとも求められるのは「角質層内の水分」です。
角質層は、いわばレンガ状に積み上がった隙間を細胞間脂質が埋めることで、正常な形を整えますが、角質層内の水分が不足してくると、この隙間が崩れ始め、異物が角質層内に侵入、免疫反応が生じることで炎症、痒みにつながってきます。細胞間脂質が水分を保持するために必要なのがセラミドでありフィラグリンなのですが、これらはアトピー性皮膚炎の方、全てに共通して「不足」しているわけではありません。
ただ、そうした水分保持のための因子がサプリメント等により整った、としても、「水分」そのものが失われた状態では、結果的に角質層内のレンガ状の状態は崩れることになります。
そのため、アトピー性皮膚炎の方が「乾燥」を訴える中で、もっとも考えなければならないのは「水分」なのですが、病院で処方される「保湿剤」はワセリンなど、油分系のアイテムが中心となり水分の「補給」には役立ちません。
もちろん、オイル系アイテムを塗布すると、皮膚が柔らかくなりますので、「ケアをした」満足感は得られます。しかし、乾いた砂場にシートをかぶせただけでは、その下の砂場がすぐに潤った状態ならないように、オイル系アイテムで皮膚をカバーしても、角質層に水分が供給されていない以上、「乾いた状態にオイル分でカバーした」だけの状態と言えます。
- ●●● 「保水」ケアを十分に行う
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そこで、乾燥した肌には、まず「水分」を与えることを第一に考えるようにしましょう。
アイテムとしては、水分を多く含むものを選びましょう。
一般的には、水分量が多い順番として、
ローション > ジェル > 乳液 > クリーム
となります。オイル分だけのアイテムは、当然ですが水分は含みません。またクリームは水分と油分を乳化させていますが、水分が多いと乳液になりますし、油分が多いとクリーム、ということですので、水分量は他のアイテムほど多くはありません。
アトピー性皮膚炎の方が、「保水」ケアを行う場合、皮膚のべたつき感を嫌って、「最低限」で行う方がいます。
しかし、角質層内の細胞間脂質が水分を捕まえ、汗や大気中へ自然蒸散していく分を差し引いて「必要な量を保持していく」ためには、もともと水分が少なかったわけですから、ちょっと湿らせた程度では、全然足りていない、ということになります。
実際、アトピー性皮膚炎の方が行う「保水」ケアで、誤っているのが、保水ケアは行っても足りていない、つまり「水分不足が解消されていない」状態です。
では、どういった目安で行えば良いか、ですが、簡単な方法としては、通常行っている保水ケアを3〜5回、繰り返して行ってみてください。いわゆる保水ケアの「重ね塗り」です。何度か繰り返していると、肌を押した際の弾力が違ってくることが実感できるはずです。そこまで「潤い」を与えて、ようやく乾燥対策の「出発点」に立てた、と考えましょう。
あとは、与えた水分が蒸散するのを防ぐためにオイル分でカバー(保湿ケア)しましょう。このカバーは、何重にかけなくても大丈夫です。1回、かけるだけで良いでしょう。
ただし、バリア機能が大きく低下、掻き壊しやひび割れが強い場合には、今度は「保護ケア」が必要です。オイル系アイテムを重ね塗りするなどして(イメージは、オイル系アイテムで皮膚の上にもう一枚、皮膚を「作る」感覚です)、バリア機能の低下を防ぎましょう。