アトピー性皮膚炎の克服につながる日常生活の「入浴ケア」 |
- 最近では、温泉湯治も含めて、入浴をアトピー性皮膚炎の治療の一部として取り入れている医師も増えてきましたが、アトピー性皮膚炎の方への生活指導として入浴を控えるように指導する医師もおられます。
なぜ、入浴に対する医師の見解の相違がでてくるのでしょうか?
そこには、「入浴環境」と「入浴方法」の違いが関係しています。
あとぴナビでは、年間にわたり、これまで述べ10万人以上のアトピー性皮膚炎の方に対して、さまざまなケアを提供してまいりました。
個々人によって原因も症状も千差万別なアトピー性皮膚炎の方のご相談を受け、ケアについてアドバイスしてまいりましたが、そのケアの 中心として位置付けてきたのが、温泉湯治をはじめとする「入浴ケア」です。
そして、34年間の積み重ねの中で明らかになったことがあります。
それは、
- 「正しい入浴環境で、正しい入浴方法を実践すれば、アトピー性皮膚炎に効果がある」
- そして同時に、
「正しくない入浴環境、あるいは正しくない入浴方法を実践すれば、アトピー性皮膚炎は悪化する」
ということです。 - 本来、多くのアトピー性皮膚炎は、初発の状態から、お薬の使用の有無にかかわらず、比較的短期間に治癒します。しかし、約10〜20%のアトピー性皮膚炎の方は、治療を繰り返す中で、症状が徐々に悪化、「治 りにくいアトピー性皮膚炎」の状態に陥ります。この「治りにくいアトピー性皮膚炎」を克服していくためには、ある意味、「攻めのケア」が必要であり、そしてその「攻めのケア」として、日常生活の中でもっとも取り入れやすいのが「入 浴ケア」になります。
- この「治りにくいアトピー性皮膚炎」を克服していくためには、ある意味、「攻めのケア」が必要であり、そしてその「攻めのケア」として、日常生活の中でもっとも取り入れやすいのが「入浴ケア」になります。
- では、なぜ「入浴ケア」がアトピー性皮膚炎を克服していくための「攻めのケア」として有効なのか、また、どのような「入浴環境」と「入浴方法」がアトピー性皮膚炎に対して、メリットとデメリットの境目になっているのかを考えていきましょう。
- 入浴が体に与える影響を考えた場合、そこに関わる「入浴方法」の要因は次のものが考えられます。
- ・入浴温度
- ・入浴時間・回数
- ・入浴環境
- そして、この3つの要因は、「体の状態」により、そこから得られる効果(マイナスの効果も含めて)も異なります。
例えば、入浴温度を考えた場合、健常な方とアトピー性皮膚炎の方の「適切な入浴温度」は異なります。
健常な方であれば、高い入浴温度も低い入浴温度も、それぞれの温度からさまざまな「効果」を得ることができます。
もちろん、アトピー性皮膚炎の方も健常な方と同様の効果は得られますが、同時にその温度によるマイナスの効果(アトピー性皮膚炎に対して)も受けることになります。
高い温度の場合、そのマイナスの効果とは、角質層の水分蒸散量の上昇、という点なのですが、健常な方であれば、そのマイナスの効果は微々たる影響しか与えません。
しかし、アトピー性皮膚炎の方の場合、アトピー性皮膚炎そのものの原因ともいえるバリア機能の低下につながります。またそれは同時に、痒みの主たる原因でもあるため、悪化要因として大きな影響も受けることになります。
このように、入浴は、その時々の体の状態(アトピー性皮膚炎の方ならば肌の状態も含めて)により、受ける「メリット」と「デメリット」が異なる、ということです。
そして、メリットがデメリットを上回ると「良い入浴」となり、デメリットがメリットを上回ると「悪い入浴」ということになるわけです。
ここで重要なポイントは、先に述べた「体の状態」により、同じ入浴方法を選んでも「良い入浴」になることもあれば「悪い入浴」になることもある、ということです。
医師が言う、アトピー性皮膚炎の症状悪化を生んだ入浴、というのは、入浴という行為そのものによるものではなく、こうした「入浴温度」「入浴時間」「入浴環境」などが、個々のアトピー性皮膚炎の体の状態(肌の状態)にあっていなかったから、つまり「入浴方法が適していなかったから」ということです。
では、個々の入浴方法について、アトピー性皮膚炎の方にどのように作用するのかを見ていきましょう。