秋冬を快適に過ごすアトピーケア |
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監修 : 岩居 武 (いわい たけし) 医学博士
1964年大阪府出身。徳島大学医学部を卒業後、大学関連施設を経て、病院院長 などを務める。自身がアトピー性皮膚炎で、自宅温泉湯治の経験者でもある。
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ここ数年、残暑の時期が長くなっています。昨年のように「残暑後の秋が短くすぐに冬を迎える」という年もあります。
アトピー性皮膚炎の肌は、湿度や気温の変化にとても影響を受けやすいもの。ちょうど残暑が終わって秋に入る10月は季節の大きな変わり目なので、アトピーケアに失敗しないよう慎重に…。そこで今月は、秋冬に向けて、アトピー性皮膚炎の状態をアップさせるスキンケアと入浴のコツをお伝えします。

アトピー性皮膚炎の症状が最も悪化しやすい季節は、一般的に春先といわれています。逆に、最も過ごしやすい季節は秋口頃といわれています。
しかし、ここ数年の気候変動により、この傾向に変化が現れ始めています。残暑の期間が長くなり、春先のような急激な温度や湿度の変化がみられるようになってきたからです。本来、アトピー性皮膚炎の症状が落ち着いて過ごしやすいはずの秋の季節に、逆に症状を悪化させてしまう人も多くなってきたようです。
まずその原因について考えてみましょう。秋口に症状を悪化させてしまう原因として、次の3つが考えられます。
急激に大気が乾燥し始める
秋口に入ると、残暑が続いて高く保たれていた湿度と気温が、数日で一気に低下してしまうことがあります。
湿度や気温が低下することによって、当然大気は乾燥した状態になります。大気が乾燥し始めると、皮膚の水分は蒸発しやすくなります(水分蒸散 量が高まる)。アトピー性皮膚炎の肌はもともと乾燥傾向にあるので、かさつきを感じるようになることがあります。
特に夏から秋への季節の変わり目では、まだ夏の服装で露出部位が多く、顔、首、腕、足などの乾燥が強まるケースが多いようです。
夏バテなどで体調をくずしやすい
夏から残暑にかけては、暑い日が長く続きます。熱帯夜が続いて睡眠が十分にとれない、エアコンの使い過ぎで体がだるい、暑さのせいで食欲がない など、この時期に体調をくずしてしまう人も多いでしょう。
暑い時期は汗をかきやすく、肌にとっては比較的良い環境であるといえます。しかし健康維持という観点からは、夏バテなど調子をくずしてしまいがち。
体調そのものを悪化させてしまった場合、大気の乾燥で肌の環境が悪化するのと同時に、かゆみや炎症が強くなることがあります。
日焼け・紫外線のダメージが残っている
夏から残暑にかけての肌へのダメージを考えた場合、気温だけでなく強い紫外線にも注意が必要です。
暑い時期は、どうしても薄手の服装で外出することが多くなります。外出時に紫外線対策をしっかり行わないと、紫外線により肌のバリア機能が破 壊されたり、日焼けによる炎症をまねきます。
首や顔、腕など、露出された肌が紫外線のダメージを受けた状態で、秋口に空気が乾燥し始めてかゆみや炎症が起きれば、肌は2重のダメージを受け ることになります。
このように近年の秋口の傾向としては、「肌の乾燥」、「体調の悪化」、「夏のダメージが残っている」といった要因により、アトピー性皮膚炎の状態自体が、悪化しやすい傾向がみられるようです。
