冷え知らず入浴法全て教えます |
- 冷えって何?
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「冷え」とはどのような状態でしょう? それは「体を巡る血流が滞った状態」といえます。人間の体温は、体の中で作られます。体温に強い影響をおよぼす臓器にランクをつけるとすれば、1番目が筋肉、2番目が肝臓、3番目が胃腸となるでしょう。
運動によって体温が上昇するのは、筋肉の働きによるものです。こうして体内に作られた「熱」は、血液によって体の各部位に運ばれます。
体の中心部ではおおよそ38度ぐらい(深部体温)、日常的に体温を測るわきの下や舌下で36〜37度ぐらい、そして手や足先の末端部位では、28〜30度ぐらいに下がっています。
冷えを感じて手足をマッサージすると、冷えが改善されたように感じます。これはマッサージによって筋肉を動かし、血流が良くなることで作られた熱が、スムーズに手足の先に伝わるからです。また、寒いと体が「ブルブル」と震えますが、これも震えることで、筋肉から「熱」を生み出そうという働きによるものです。
- なぜ、冷えが問題なの?
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冷えの大きな問題点は、「熱を得られない」ということだけではありません。血液の流れが悪いと、血液によって運ばれるはずの酸素、栄養素、各ホルモンなども届きにくくなります。そのため、冷えた部位を中心に、体の様々な機能が低下し、弊害が現れやすくなります。
手足が冷えたからといって、それがすぐ病気に結びつくことは少ないでしょう。問題は、手足の冷えが改善されなければ、血流が滞った状態が続くことです。手足の冷えは、体全体の血流が悪くなっている「サイン」と考えられるのです。
例えば、内臓の血流が悪くなると、その部分が冷えます。しかし、内臓には直接触れることができないので、冷えは感じにくいもの。逆に、冷えた内臓の部位に自覚できるような「症状」が現れるとしたら、それはすでに重篤な疾患に進行している可能性があります。
- 冷えの原因は?
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冷えの原因は非常に多様です。例えば、睡眠不足も冷えの原因になります。十分な睡眠がとれないと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。血管の収縮は自律神経が担っているので、自律神経のバランスが崩れると血流にも悪影響がおよび、冷えにつながるというわけです。
食事の内容が冷えに大きく関わることは、言うまでもないでしょう。もちろん運動不足も、冷えの大きな要因です。ほかにも、喫煙は血管を収縮させることによって冷えにつながり、ストレスも間接的に自律神経を乱して冷えを生みだします。
- 冷えはアトピーの原因の一つ
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血液の流れが悪い状態が続くと、内分泌や自律神経がうまく機能しなくなり、免疫機能の低下につながります。免疫機能の低下は、アトピー性皮膚炎の原因の一つです。
アトピー性皮膚炎の患者さんを対象としたアンケート調査を行うと、かゆみ以外の自覚症状として「冷え」を訴える人は多いものです。そして、アトピー性皮膚炎を克服したあとでは、同時に冷え性も改善しているケースがほとんどです。冷えの解消は、アトピー性皮膚炎克服に向けての大切なポイントの一つといえるでしょう。
- 冷えを改善するには?
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では、どのように冷えを改善すれば良いのでしょうか? 一つは、体の熱を多く作り出すことです。例えば、温かい食物を食べれば、その熱が内臓から直接伝わります。消化しようと胃腸が働くことで、さらに熱が作られます。
しかし、体の中でいくら熱を作っても、その熱をうまく体全体に伝えることができなければ、冷えは改善されません。そこで大切となるのは、血液の流れを良くすることです。
血流を良くする方法の一つは運動です。適度な運動によって、自律神経が整い、血流が良くなります。同時に筋肉で熱も作られ、全身に運ばれやすくなります。
そしてもう一つ、生活習慣の中で簡単に行える方法は入浴です。次の実践編で、冷えを改善する入浴法について説明します。