最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル |
- アトピー性皮膚炎は、生活環境やライフスタイル、生活習慣などの様々な原因が 複雑にからみあって発症・悪化します。まず、自分のアトピーの原因は何かを知 りましょう。原因を知ることで、はじめて正しい治療の方向性が見えてきます。
- 化学物質などの原因物質
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アトピー性皮膚炎の発症、悪化の原因は 人によってさまざま。一概にこうだと断定 することはできません。しかしその中でも 医師や研究者によく指摘されている要因の ひとつが、化学物質とアトピー性皮膚炎の 因果関係です。
アトピー性皮膚炎は、戦後になって急激 に増えたと言われています。高度経済成長 によって食事情が豊かになり、物質的にも恵まれた便利で快適な生活と引き換えに、 多くの化学物質が私たちの生活に入り込ん できました。現在では、大気中や建材、化 学繊維の衣料、生産過程で化学処理される 加工食品(農薬、添加物など)、水道水な ど、暮らしとは切っても切り離せないとこ ろに、数多くの化学物質が氾濫しています。
化学物質とは「人工的に合成された物質」 のこと。本来、自然界には存在しなかった 物質には、人体にとって有害なものが多数 存在しています。化学物質を多量摂取した 場合は中毒症状を引き起こしますが、微量 を継続して摂取したり触れたりした場合に は、中毒症状を引き起こす前の警告信号、 治癒力発動のサインとしてのアレルギー症 状を引き起こすことがわかっています。こ れがアトピー性皮膚炎の要因のひとつと言 われ、症状が悪化する原因にもなっていま す。
- 食事情の変化と食習慣
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戦後、日本には西洋の食文化が入ってき ました。それに伴い、甘いもののとり過ぎ や過食も増え、スナック菓子やジャンクフ ードも身近になりました。そもそも私たち モンゴロイド系の日本人は、農耕民族とし て野菜と穀物中心の食習慣を築き、食物繊 維などをゆっくり消化するために、ヨーロ ッパ人などのアングロサクソン系の人より も腸が長いと言われています。つまり、腸 への負担が大きいたんぱく質や脂質を多量 に摂取する西洋の食事は、日本人の長い腸 には不向きです。
また、骨が丈夫になると子どもに牛乳を 飲ませるようになりました。しかし牛乳は、 大きなアレルギー発生要因のひとつです。 特に日本人の多くは、乳幼児期には体内に 存在している乳糖分解酵素のラクトースが、 3歳を過ぎる頃から不足してくると指摘さ れています。これは、成長に伴って牛乳の たんぱく質が分解されにくくなることを示 しています(調理したり発酵させれば問題 はありません)。
さらに問題なのは、食べ物に含まれる防 腐剤や添加物などの化学物質が急激に増え ていることです。食事をとおして体内に入 る化学物質の量は、年間約2キログラム (ペットボトル2リットル分に相当)と言わ れています。これだけの量が体に与える負 担は、容易に想像がつくのではないでしょ うか。これらの問題に加えて、たんぱく質 や脂質のとり過ぎ、ミネラル不足などの食生活の変化が重なり、アトピー性皮膚炎の 発症、悪化に影響を与えています。
- 清潔すぎる生活環境
道路の舗装、上下水道の完備、殺菌・消 毒の行き届いた住環境など、日本の生活環 境は非常に清潔になりました。公衆衛生と いう観点からみれば、これは好ましいこと。 しかし、過度に清潔な環境におかれた人間 は、細菌などにさらされる頻度が減ること で、体内の免疫バランスが変化しアレルギ ー症状を起こしやすくなるとも言えます。
人間の免疫システム(細菌などの外敵か ら身を守るしくみ)をつかさどる細胞の一 つに、ヘルパーT細胞があります。この細 胞には1型と2型があり、この割合(1型 が多いか2型が多いか)によって体質も変 わります。この体質は、乳幼児期に決まる と言われており、この時期に細菌やウイル スの多い環境に育つと、「1型が優勢な体 質=非アレルギー体質」になります。逆に、 細菌やウイルスが少ない環境に育つと、「2 型が優勢な体質=アレルギー体質」となり ます。
「風邪で高い熱が出て、その間アトピー の症状が一時的によくなった」という話を よく聞きます。これは、風邪のウイルスに よって一時的に1型の免疫が高まり、アレ ルギー症状(2型の免疫)が抑制されるこ とによって起こります。
アトピー性皮膚炎が発展途上国では少な く、先進諸国で増加し続けている背景には、 このように、衛生環境が整ってきたことが 関係していると考えられています。
- 睡眠や運動の不足
生活が便利になって、生活スタイルにも様々な 変化が起こりました。夜型の生活を送る人が増 え、深夜近くまで起きている子どもも珍しくあり ません。このような生活が続けば、必然的に慢性 の睡眠不足となります。健康な生活を送るため に、睡眠にはとても重要な役割があります。成長 ホルモンが睡眠中に産生されること、アトピー性 皮膚炎にも関わる副腎皮質ホルモンが睡眠と深く関わっていることを考えると、特に子どもの発育 や体調管理に大きな影響を与えます。
また、日常生活における慢性的な運動不足も指 摘されています。人間は、運動によって新陳代謝 をうながし体のバランスを保っています。ところ が近年、交通機関の発達などによって運動量が減 ったうえ、冷暖房の充実によって汗をかく機会も 格段に減ってしまいました。そんな状況にもかか わらず、以前に比べて代謝しなければ ならない有害物質(化学物質)は増え ているのです。摂取した化学物質は、 本来、新陳代謝で処理・排泄されます が、運動不足などによって代謝能力が 落ちると、摂取した化学物質を処理し きれない状態になります。処理しきれ なかった化学物質はアトピー性皮膚炎 などアレルギー症状の引き金となりま す。
生活していく上での快適さは、身体 にとっては必ずしも快適ではないとい うことを、忘れずに心にとめておきた いものです。