アトピー克服体験記 |
- 石間伏さおりさん
- 幼少期からのアトピーを、一度は子どもの頃に治せたものの、再発してからはずっと長く引きずったまま…。そんなさおりさんでしたが、"心"と向き合うことで、アトピーから解放されていきました。
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「症状なんかにかまっていられない。見た目なんかにかまっていられない。それほどの気持ちで、今"やりたいこと"に、"一生懸命になれること"に、とことん熱中していたい。
そんな、何かに夢中になれる時間が、自分からいつの間にかアトピーを遠ざけていくのだと思います」
こう語るのは石間伏さおりさん。
「つらすぎるアトピーを必死で治そうとすると、アトピーにばかり目を向けてしまいがちです。でもそうしてアトピーにがんじがらめにされている間は、結局アトピーは治っていかないようにも思うんですよね…。今思えば、ですが」
アトピーを忘れられるほど自分にとっての楽しい時間を得る、気がまぎれること、アトピーから楽になれるものを探す、そしてそれに打ち込む││。さおりさんの考えるアトピーの治し方は、アトピーを治そうとして、アトピーに真正面から取り組まないことにあるようです。
さおりさんの場合"一生懸命になれること"、それは、はじめての子育てと、「ヨガ」でした。
ヨガは、インストラクターの資格を取得して、現在、自宅でレッスンを行っておられます。
さおりさん自身、こうした何かに必死になれる時間を持つまでは、調子いい・悪いを繰り返すばかりの、すっきり治せていない状態を何年も長く続けていたのだそうです。
- ◆◆◆ メンタルが症状に影響する 中学の頃に気づいた
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幼少期からのアトピーで、お兄さんもアトピーで、子どもの頃から自宅温泉湯治を日課として育ったさおりさん。
膝や肘に包帯を巻きながら幼稚園に行き、泥遊びをして包帯を真っ黒に汚して帰ってはお母さんに呆れられていたやんちゃっ子でした。
大きな漬物用のペールを湯治専用の浴槽にして数を数えながら温まり続けていたのは遠い記憶。こうして小学校入学前に一旦はきれいにアトピーを治せています。
しかし、小学5年生の頃、引っ越しを機に突然肌にアトピーのような症状が現われました。「いい病院」として当時知られた鹿児島の皮膚科にまで足を伸ばし、そこで診てもらうと「カビ」との診断に。カビ用の薬を塗ることになりました。
小学5年ながらステロイドには拒否反応があったというさおりさんは「ステロイドは入っていないですか?」と勇気を出して医師に確認しています。「入っていません」。この返事に安心をして、保湿剤代わりに塗るようにとの指示に従い、入浴後に毎日たっぷり肌にすりこんでいきました。
「すぐに症状は消え、すごくきれいになりました。ですが、泊りがけの学校行事に参加するときなどに薬を忘れて、2、3日塗らない日があったんですが、そうするとまた症状が出てくるんです。不安になって薬を断ったのが小学校の卒業式前で、バーッと症状が噴き出したのは中学1年のゴールデンウイークでした」(左上に掲載)
福岡の病院に駆け込んだところ、鹿児島で出されていた薬の成分にステロイドが入っていたことを知ったさおりさん。大人に嘘をつかれていたことがショックで、遠ざけてきたステロイドを自分で塗ってしまったことがショックで、訪れた離脱症状ももちろんショックで、さらに自律神経の働きも乱れ昼夜逆転になっていたこともあり、その5月から12月まで休学をしています。
「引きこもりなってしまいました」
中学生活が始まったばかりの大事な時期に訪れた悲しい日々でした。
中2の夏にも体調を崩し、1年前ほどの期間は必要とはしなかったそうですが、やはり休学へ。「紫外線や汗に弱くなっていると気づきました」。
小学校までは活発な女の子だったさおりさんですが、休学を重ねて学校に戻ると、クラスでは性格が内に向くようになってしまったと言います。
「おとなしい人たちのグループにちょこんと入っていましたね」
中学2年で休学をしていたのは2カ月間。その間、さおりさんは、一人で九州ホスメックリカバリーセンター(現在は閉館。以下「HRC」と略します)に長期滞在をすることに。
「そこではみんなにかわいがってもらって、友達がいっぱいできて、もう楽しくて楽しくて、ものすごく肌調子良く過ごせました。でも、学校に戻るとドーンと肌の状態が落ちたので、これは気持ちの問題なんだなと、中学生ながらアトピーの克服には精神状態が大事なんだと気づきました」