アトピー克服体験記 |
- 兵庫たつの市:寺田早希さん(26歳)
取材・文/名原和見:撮影/藤泰相 |
物心ついた時から、アトピーの症状に悩まされていた寺田さん。幼い時からずっと親兄妹以外の誰にも言えず、仲良しの友人にすら自分がアトピーだということを伏せていたといいます。 思春期になれば、その悩みはとてつもなく大きくなり、恋も勉強も将来もすべてを「アトピーだから、しゃーない!」と諦めてしまっていた時期もあるのだとか。「でも、正しい湯治とケアさえすれば、アトピーは治るんです!このことを今アトピーで悩んでいる人たちに知ってもらいたくて!」。こんな思いから、克服体験記に自ら応募。 「自分の経験が誰かの役に立てるなら本望!」と、これまでの経験を熱く語っていただきました。 |
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兵庫たつの市 寺田早希さん(26歳) |
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保育園(4歳)で給食が始まってからアトピー発症。
以来、中学2年生までアトピーの症状に悩まされ、その間、内科で処方されたステロイドを塗り続ける。
一旦、ステロイドを辞め、健康食品を試すが、ひどい離脱症状に1カ月で断念。
その後は皮膚科などにも通い、徐々に強いステロイドを塗ることに。社会人になりしばらくしてオムバスの自宅温泉湯治をスタート。
約半年後、1カ月HRCで療養することで勢いがつき、徐々に症状は和らぎこのたび完全克服に至った。
- ■「アトピーだから、しゃーない、しゃーない」
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これまでは何につけ「アトピーだから、しゃーない!と、いろんなことを諦めてきました」と話す寺田早希さん。
しかし、現在のお顔やデコルテを見ると肌は真っ白でツルツル。白と黒のシックな装いにきれいな肌が映えていて、とても『諦めていた人』には見えません。
そう伝えるとニッコリと笑い、徐々に話し始めてくれた寺田さん。そこには、アトピーならではの悩みを抱えて、過敏な思春期を乗り越えた壮絶な心の葛藤があったのです。
寺田さんのアトピーの発症は幼稚園の時。4歳の時でした。給食が始まったのと同時に、腕や膝がカサカサになり赤みを帯びて痒みが出ていたそうです。「当時のことはよく覚えていないのですが、母に言わせると血が出るまで掻きむしっていたと聞いています」。
物心ついてから、当たり前にアトピーだった寺田さんは小学校にあがってから、とにかくプールに入れなかったという記憶が鮮明に残っているといいます。
「暑い日だったから、プールに入って涼んでいる友だちがただうらやましくて。その光景を私はいつも、プールサイドから眺めていました」。夏を経て冬になると、今度は乾燥が激しくなり、身体中カサカサ。聞けば、膝なんて曲げられないほど乾燥がひどかったそうです。
中学に入ると、みんなはスカートのウエスト部分を折り曲げて短めにはいていたなかで、寺田さんただ一人、スカートはできるだけ長めにはいていたとか。
「なぜなら、アトピーを少しでも隠したかったんです。具合が悪いときであっても友だちには、『あれ、花粉症になったのかな?』なんてごまかしていました。どうしても、自分がアトピーだということを言えなかったんです」。
その間のケアといえば、寺田家のホームドクターでもあった内科へ通い、ステロイドを処方してもらうだけ。「今、思えば笑えるんですけれど、当時、この世の中に皮膚科があることすら知らなかったんです。
だから、ずっとこの内科に通い、出されたステロイドをまじめにずっと使っていました」と苦笑いする寺田さんです。