アトピー克服体験記 |
- 廣江 駿介くん(3歳)
育児は夫婦の分担作業。滋賀県にお住まいの廣江さんご夫妻は そう考えていらっしゃいます。だから長男・駿介くんの湯治についても ご主人は、奥様だけに任せきりには決してなさいませんでした。 小さな体が懸命にアトピーと闘っているその姿をご両親で共に見守り、 共に闘う──。望ましい夫婦の協力体制、作業の分担とは、具体的にはどういったものだったのでしょう。 |
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廣江 駿介くん(3歳) | |
頬の皮膚が赤く剥けているが、これ以前にきつく症状が出て一旦退いた状態。背中のところどころに大きな発疹がある。皮膚全体に滑らかさがない。 |
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平成11年11月13日、日本オムバス大阪で行われた廣江駿介くん(3 歳)の自宅温泉湯治卒業式に、林哲弘カウンセラーが九州ホスメックリカバリーセンターより駆けつけました。修了証書を読み上げ、手渡し、駿介くんの努力とご両親のご苦労をねぎらいます。隣には後任の大森靖夫カウンセラーが笑顔で拍手。和やかで温かい光景です。
「あーとぉー。(ありがとう)しゅんちゃん、がんばったよ。あせいっぱいかいたよ。みんなあーとぉーね。みんなだぁーいすき。ぎゅうにゅうもだいすき」。元気になった駿介くん、トークも絶好調でツルツルの肌に笑顔を輝かせます。
- きれいな肌も薬がパサパサにしてしまう!?
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駿介くんは、廣江さんご夫妻にとって初めてのお子さんです。期待と不安が交錯する初めての出産、その入院時に、お母さん・明子さんは、「母乳のあげ方」「オムツの替え方」に加え、当たり前の育児の1つとして「薬の塗り方」も教わっています。
「退院するときも、『オムツかぶれとか、湿疹とか、赤ちゃんにはそういうものが必ず出ますから、出たらコレを塗ってあげてください』と、お土産で軟膏をもらいました」(明子さん)。
不思議なような、でもこれが今の時代の当たり前なのかと、なんとなく納得をして、帰宅。そして初めての育児が始まります。 言われていた「オムツかぶれ」がすぐに出てきました。例の軟膏に手を伸ばしたのは、当然といえば当然のこと。 生後1カ月でお尻のかぶれに、2カ月で顔の湿疹に、「どの部分の炎症にもこれ1本でOK」と聞いていたオールマイティなその薬を、塗れば確かに翌日には赤みが消えていますが、数日もすると、数と範囲を広げながらまた湿疹は出てきます。そのうちに、症状がなくなるよりも薬の方が先になくなり、フルコート(副腎皮質ホルモンと抗生物質配合剤、硫酸フラジオマイシン、フルオシノロンアセトンド)を補充しています。 気がつけば、生後4カ月で湿疹は全身に見られるようになっていました。ほっぺの皮膚は、魚のうろこのようにめくれています。 「オムツかぶれなんて赤ちゃんなら当たり前。湿疹も胎毒が出とるとか言うぐらいなんやから、ほっといたらええと言うんですが、1日中顔を突き合わせているこっち(明子さん)の方が参ってくるようなんです。あの頃は、薬を塗って親の気が済むのなら塗ればいいと言っていました」(父・郁男さん)
ある日、小児アレルギー科に駿介くんを連れて行った明子さん。アレルゲン検査をして、卵と牛乳に反応したことから、母乳からそれらを抜くよう、お母さんの食事制限が始まりました。駿介くんには内服薬(抗アレルギー剤)と塗り薬(抗ヒスタミン剤・いずれも名称は不詳)が処方されます。
1日2回、決められた通りに薬を塗る毎日が続きました。ところどころに残っていた赤ちゃんらしい肌には塗っていないのに、いつの間にか柔らかい皮膚が全身から消えていることに気づいた明子さん。『治すためにやっていることが状態を悪くしている』と。