アトピー克服体験記 |
- 菊地 瑚ちゃん(2歳)
「幼稚園に入る前にアトピーを治したい」 「みんなと同じ給食を食べさせてあげたい」--。 これは、お子さんのアトピーに悩むご家族に共通の思いです。 菊地さんご一家にとっても、その思いは切実でした。 食べられるものがほとんどなかった瑚ちゃんが、 2年間の湯治を経て、何でも食べられる元気な女の子に。 この春、桜色のほっぺで幼稚園に入園するまでの記録です。 |
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菊地 瑚ちゃん(2歳) | |
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完全に薬を断って10日。炎症が全身に広がっている。顔は比較的きれいだが、顎から首回りは肥厚してゴワゴワに。腕は掻き傷だらけになっていた。
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- 海里(かいり)くんと瑚(さんご)ちゃんは2歳違いの兄妹。二人の名前から、「美しい海を護りましょう」というメッセージが聞こえてくるようです。 「ちょっと元気すぎまして」と、パパの秀彦さんも二人のパワーに苦笑気味。「うるさくてすみません」と恐縮しながらも、ママの裕美さんは、自然と顔がほころんできます。初めてオムバスを訪ねた日からちょうど2年。今日は瑚ちゃんの「卒業式」なのですから。
- ことの始まりは病院へ行ったこと!?
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「海里にも乳児湿疹は出たんですけど、気にしないでいたら自然に治ってました。瑚の時も同じ調子でやってればよかったのに、膝にも肘にも出てきたもんですから、これはアトピーだと思い込んで、病院へ行ってしまったんです」
初めて皮膚科に連れていかれた生後3カ月の時、瑚ちゃんのほっぺや膝、肘の内側は、滲出液でベタベタになっていました。お医者さんはなぜか、「母乳が原因だから、ミルクに切り替えるように」と指導。でも、ミルクに切り替えてみても、瑚ちゃんのほっぺはジュクジュク、膝や肘の内側もベタベタのままでした。
小児科の指導で離乳食を始めたのは6カ月のとき。裕美さんはもちろん、瑚ちゃんの体がびっくりしないように、すりつぶしたゆで野菜やパンがゆなどの離乳食を、ミルクと一緒に少しずつ与えるようにしました。
「8カ月の時、カスタードプリンを食べさせたら、一気にむくんじゃってすごかったんですよ。慌てて小児科に連れていったら、ステロイド剤を出されました。塗ったらすぐ退きましたけど、次の日にはまたパンパンに腫れて、表面は鏡餅が割れたようになってガサガサなんです。もう、驚いちゃって……」
もしかしたら、薬が強すぎたのかも--。裕美さんはそう思って、別の皮膚科を訪ねます。でも、出てきたのはやはりステロイドの塗り薬でした。 「ステロイドは怖いと聞いてましたので、本当にひどい時しか塗らないようにしたんですけどね」 結局は、それからオムバスを訪ねる直前まで、瑚ちゃんはステロイドと縁の切れない生活を送ることになりました。 最初は驚くほど即効性のあったステロイドも、次第に効かなくなってきます。肘の内側や膝の裏側、手首や足首、手の甲は、いつも炎症を起こしている状態。「黒ずんでゴワゴワになって、おばあちゃんの手みたいになってましたね」。