アトピー克服体験記 |
- 木野胤くん(3ヶ月)
「お子さんにはずっと薬を塗り続けるように」と言われ、ステロイド軟膏を渡されたのは1カ月検診のとき。目の前が真っ暗になったママの目に飛び込んできたのが自宅温泉湯治の記事でした。授乳と湯治でフラフラになりながらも、明るい気持で頑張れたのは、必ず克服できると確信していたから。胤未(つぐみ)くんの成長と経過を見つめ続けた木野さん一家に、約束通り克服の春がやってきました。 |
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木野胤くん(3ヶ月) | |
赤ちゃん特有の脂漏性湿疹がひどく、頭皮がひび割れて顔も傷だらけだった。首や腋の下、間接まわりも炎症を起こしてジュクジュク。自分で掻ける部分はたちまち傷に。 |
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- 1カ月の赤ちゃんに迷わずステロイドが
- 体重2280グラム。95年9月13日に東京都内にある産院で産声を上げた木野胤未くんは、他の赤ちゃんに比べると大分小さな男の子でした。
「助産院でしたから、保育器に入ることにはならなかったんですけど、小さく生まれましたから、小さいながらも丈夫に育てなきゃと思いましたね」と、淳子さんがあの日の思いを振り返ります。
胤未くんは昼夜を問わずよく泣く赤ちゃんでした。
おなかはいっぱいのはずなのに、おしめも濡れていないのに、いつまでも泣きやまないでママを困らせる胤未くん。生後2週間たったころから、胤未くんの顔にはジュクジュクとした湿疹が……。
1カ月検診で胤未くんを診た小児科のお医者さんが処方した薬は、「キンダベート」というステロイド軟膏。そして、「この薬を塗って一旦きれいになって も、ずっと少しずつ塗り続けるように。これはお子さんの体質ですから」と、何の検査もせずに「体質」と言い放ったのです。
95年11月4日、淳子さんは胤未くんを抱いて病院をハシゴすることになります。最初の小児科で「キンダベート」を見せると、お医者さんは「その薬で上 等、上等。でも心配なら一応皮膚科にも行った方がいいよ」と。その足で訪ねた皮膚科でも、結果は同じでした。そこでは、「この薬は弱い方だね。でも、怖い から薄めてあげるよ」と、ワセリンで薄めた「キンダベート」と、薄めない「キンダベート」を渡されただけだったのです。
結局、どの病院に行っても出されるのはステロイド剤。この子にはずっとステロイドを塗り続けるしかないのか…。迷いと不安でいっぱいになりながら、淳子 さんは1日2回、一応薄めてもらった方の「キンダベート」を、胤未くんのジュクジュクになった顔には塗るしかありません。
「でも、よく考えると、塗っても泣くのを抑えられないのにこのまま塗り続けていいのかなって。まだ生後2カ月なのに、ずっと塗っていくのか? これからずっと病院通いしてくのか? って。結局、やめちゃった」