アトピー克服体験記 |
- 各務夕香 (かがみ ゆか) さん(41歳)
断続的とはいうものの、ステロイ ド使用歴は約30年と長期。ずっと 頼ってきた薬をやめたのはご長男 の妊娠がきっかけでした。壮絶な 離脱のただなかでの出産、育児と 家事が思うようにこなせない悲し さ、先の見えない不安など、もろ もろの“大変な思い”を抱えて耐 えること5年で、ハッキリ見えた 「夜明け」。そこからさらに4年の 歳月が流れる中で、生まれてから ずっと付きまとっていたかゆみを きれいに消し去ることができまし た。肌が生まれ変わった夕香さん の人生は、キラキラ輝く第二章に 突入しています。。 非常勤講師。専門は音楽。乳児湿疹からアトピー へ。ステロイド使用は幼児の頃から。漢方薬、高 麗人参なども複数試す。ステロイド歴約30 年。 31歳で妊娠を機にステロイドを断つ。自宅温泉 湯治を開始し、約5年でほぼ克服し、教職に復帰。 5年目以降は温泉地を中心に国内旅行に多く出か けていた模様。アトピーがなんらかかわらない普 通の日常になって久しい。 |
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愛知県 各務夕香 (かがみ ゆか) さん (41歳) |
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「じゃあ、今度は耀くん、お母さんの右側に回ってくれるかな。そうそう肩越しに笑顔で」。カメラマンさんからの注文に応えてポーズを決める各務夕香さんと長男の耀(よう)くん(小学3年生)。
シャッター音を浴びながら、「お父さんに自慢できるね」とほほ笑み合うお二人の表情には、時間をかけてつかんだ今の幸せがあふれ出ているかのよ うです。
「明けない夜はない」――、かつて「湯治の声」(「あとぴナビ」の前身」)の克服レポートに出ていたそのフレーズに、ときに反発し、でもずっと励まされてきた夕香さん。今度はご自分が、今つらい思いを抱えている方たちのためにと、誌面に登場してくださいました。
- 薬が切れる!肌と気持ちがざわつく
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夕香さんは、高校の音楽の先生です。以前も中学で教壇に立っておられましたが、妊娠・出産時期とアトピー症状が激しく噴き出して以降、湯治に専念するため退職。普通の生活が組み立てられるまでに回復した2004年から、教職に復帰していらっしゃいます。
幼いころからアトピーで、ほぼ30年間ステロイドに頼り、途中、効くと聞けば漢方薬、アロエ、高麗人参、どくだみ茶なども試してきた夕香さん。31歳になるまでに病院を何軒も渡り歩いたそうです。
教員になって、朝早くから晩遅くまで激務に追われる生活に突入。「今思えば、先生としてがんばる自分に酔っていたんです。”こうあらねば”理想にかたくななまでに向かっていました」。自分にプレッシャーをかけるあまり、大きなストレスに渦巻かれていく毎日を過ごしてこられました。
その状況が、ずっと持ち続けているアトピーにとっていい影響を与えるはずはなく、ステロイドを命の綱のように頼るようになっていきます。塗って、飲んで、さらに注射もと、ステロイドを多量に摂取しながらも、その効き目は次第に短くなり、薬が体内から切れていく感覚が感じられたというのです。
「まさに”麻薬が切れる”という感じ。体の内側からざわざわと落ち着きのなさがかゆみとともに湧いてきて、いてもたってもいられなくなるんです。追われながら仕事する毎日で定期的に病院に通えませんので、薬が切れそうになるタイミングで『今から行きますので開けておいてください』と閉まる直前に病院に駆け込みました。注射を打ってもらって落ち着きました。これであと2週間は平気でいられると」。頻繁に通院できない分、もらう薬も大量に限界までまとめて出してもらっていたようです。
そうしていつもなら注射1本でうんと楽になった症状が、なぜか退かない日がやってきました。行事の多い2学期はハードさに拍車がかかる時期。”薬切れ”のままで苦しさに耐え、仕事をこなしていたちょうどその頃、赤ちゃんを妊娠していることがわかったそうです。