アトピー克服体験記 |
- 鈴木彰さん (34歳):鈴木彩都乃ちゃん(3歳):鈴木宥樹帆ちゃん(1歳)
横浜市磯子区にお住いの鈴木さんご家族は、彰さん昌子さんご夫妻と長男の大和くん、長女の彩都乃ちゃん、次女の宥樹帆ちゃんに、彰さんのご両親も二世帯ハウスに同居する7人家族。 その中で、お父さんと2人のお嬢ちゃんが自宅温泉湯治に専念。 家族ぐるみで格闘した2年半を、先にゴールを切ったお嬢ちゃんたち編とお父さん編に分けて紹介します。 |
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鈴木彰さん (34歳) 鈴木彩都乃ちゃん(3歳) 鈴木宥樹帆ちゃん(1歳) |
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全身に強い離脱が出ているが、これでも一時よりは浸出液が収まってきたところ。 一日中痛みやかゆみにさいなまれていればご機嫌がいいはずがない。 |
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彩都乃ちゃんに比べれば宥樹帆ちゃんの離脱はまた序の口。 部分的に赤みがある程度だが、このあと夏に向けてじわじわと離脱が進んでいく。 |
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- 3人一緒の湯治の「卒業式」は平成9年1月19日。先に湯治を始めていた彩都乃ちゃん、宥樹帆ちゃんは、お父さんより大分前にすっかりきれいになっていたのですが、あとから追いかけてきたお父さんを待って、一緒に「卒業」することにしたのです。
彩都乃ちゃんにアトピーの症状が出たのは2歳半のとき。平成6年の秋、家を建て直すあいだ一時仮住まいをした団地に移って2、3か月たったころでした。
「団地が古かったせいなのか、体中がかゆくなって夜も眠れないような状態になったんです」(彰さん)
彩都乃ちゃんに続いて、お父さんの彰さんにも強いかゆみと炎症が出てきました。皮膚科でもらったステロイド剤はよく効きましたが、2か月後にはステロイド剤に強い副作用があることを耳にして薬を中断。とたんに症状がひどくなり、特に彩都乃ちゃんの離脱は一気に広がっていきました。
「もうグチャグチャで、三日三晩ぐらい眠れないし起きられないしという状態になって、今思えばそれは離脱だったんですけど、そのときはわからなかったんですね」(昌子さん)
お友達の看護婦さんから、1か月もすれば良くなると聞き、様子を見ていたのですが、まったく改善の兆しはありません。ひどい症状が治まらないまま冬を過ぎて翌年の春。彩都乃ちゃんは4月から幼稚園に通い始めます。でも、夜中掻いてばかりでろくに眠っていない彩都乃ちゃんが、朝元気に起きられるはずがありません。むずかって泣く彩都乃ちゃんを、昌子さんが無理やり幼稚園に連れて行くのですが、慣らし期間の半日通園でも、帰るころにはもうクタクタ。とても通い続けることはできず、入園は翌年に遅らせることにしました。
- 泣いている彩都乃ちゃんに手の施しようがなかった
- 自宅温泉湯治にめぐり合う直前のこのころが、彩都乃ちゃんの離脱が最も激しかった時期です。全身の皮がむけて、常に流れ出す滲出液。朝起きるとベッタリと貼りついたパジャマをはがすのが一苦労といった状態。一日中動くこともできずに泣いている彩都乃ちゃんを、ただ見ているしかないご両親は、いたたまれない気持ちだったに違いありません。 皮膚以外にも、彩都乃ちゃんの体はさまざまな変調をきたしていました。
頭も髪の毛もフケで真っ白になり、洗っても洗ってもフケが出てきます。頭皮にまで炎症や湿疹ができているため、痛がって髪をとかすこともできない状態。そのころの写真を見ると、彩都乃ちゃんの髪の毛が薄くなっているのがわかります。
「髪の毛も皮膚の一部ですから、薬を使っていると髪が薄くなったり、爪が変形してきたりしますよね」(阿久津敏則カウンセラー)
季節は初夏。みんなが半袖を着だすころでしたが、どこへ行っても彩都乃ちゃんが異常に寒がるため、お店に入れないことも。おそらく体温を調節する自律神経の働きが極度に低下していたのでしょう。
そのころ昌子さんが本屋さんで見つけたのが「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」(全国アトピー友の会会長小川秀夫著/かんき出版)。読んですぐやる気になった昌子さんが、早速彩都乃ちゃんの手を引いて日本オムバスを訪れたのが平成6年の5月でした。