アトピー克服体験記 |
- 藤田美保子さん
回復例第2回目はアトピー友の会会報「湯治の声」1995年11月号に登場して頂きました藤田美保子さんです。 今回は、回復経過写真とともに、回復までの精神的な葛藤などを中心にご本人の手記の形式でご紹介します。 藤田さんは「アトピー!」(山田 隆著 ダイヤモンド社)にも詳しい回復状況が説明されていますので、そちらもぜひ参考になさってください。 |
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藤田美保子さん | |
自己流の温泉湯治に限界を感じ、適切なアドバイスを求めて日本オムバスを訪れた。 むくみも強く別人のような一重まぶた。 肩から顔にかけて赤く腫れ上がって体液が流れ出し、乾くとボロボロ落ちてくる。 痒みが強いため、夜はほとんど眠れない状態。全体を通して足には強い症状が出なかった。 |
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”アトピー”が原因不明の現代病の皮膚炎をさす言葉であることを、私は長い間知らなかった。
最初は海辺を歩いた後に目の周りに少し発疹がでた。次の年は春先に明るい日差しの下を歩いた後に。今思うと体も疲れていた時で、治りも悪く、何人かの医者に診てもらうが、「これはステロイドで抑え、その後一生太陽の下にでるべきではない」と言われた。太陽が大好きな私としては、これはお先真っ暗の宣言だった。
その時は漢方の塗り薬で秋口には治まったが、スキーの後にまたやってきた。特に日差しが強かったとは思えないが、スキー初心者の疲労と、おそらく漢方薬の抗原抗体反応とで、顔と腕に一気に吹き出した。湯治を始める約1年前のことである。
その後玄米菜食を試し、いくつかの健康食品に出会い、アレルギーテストでは異常なしと言われ、どうやら原因不明の現代病らしいということになってきた。西洋医学を拒否し、もう一度漢方にたどり着いたとき、どうも全身のバランスの問題らしいと言うことも分かったが、すでに勢いづいて化け物と化してく自分をどうすることもできなかった。
顔は新しい座布団のように腫れ上がり、黄汁が絶え間なく滲みだし、深く刻まれた首のシワを伝って流れ落ち、はたまた豚カツの衣のように表面がささくれ立つ。コレはナニ? 昨冬見つけた本の、すさまじい写真に似てきてないか? 腕からもブツブツが湧き出て腹に背中に広がる。夜中痒くてあちこちかきまくる。何か汁が出てきて気持ちが悪い。それでもかくのでパジャマはびしょびしょになっていく。痒い、悲しい、悔しい。
暗がりの中でティッシュでふき取るが、ふいてもふいても、赤と黄色に染まった紙屑が積もっていく。タオルを当てても間に合わない。
ある朝起きると、顔中ひび割れて血まみれになっていた。もう仕事に行きたくない。床に落ちる皮膚(粉?皮?乾いた汁?)は日に大さじ2杯を越え、なんだかやけに髪が抜け落ちるようになった。一重になったまぶたは更に腫れて、狭い視野から見えるものが暗く、焦点が搾りにくく見えにくくなった。私の中で何かが起こっている?