アトピー克服体験記 |
- 伊礼清子さん(42 歳)
「治せる希望は常にあって、それでももしも治らなかったら、九州HRC に集中して行こうと思っていました。ここがある!と思えていたことは大きな安心でした」 子どもの頃から肌が弱く、中学生になってからステロイドを常用。ステロイド療法だけでなく、漢方薬、ドクダミ、野菜汁、カルシウム、 馬油などを次々に試す。23 歳で自宅温泉湯治を開始。1 年で克服するも、妊娠などでぶり返しを何度か経験。 |
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伊礼清子さん(42 歳) | |
- 一度アトピーを治せたら、未来永劫、アトピーとは決別できるでしょうか? 答えは「ノー」。 一度キレイになった後で、過労・睡眠不足・ストレスなど、体に負荷を溜めていけば、体調はまた崩れて然りです。 今回ご登場の伊礼清子さんは、一度治せてからも何度か再発をしてそこから立ち直った方です。そして今は、 「体が治り方を覚えていますから」と、もうアトピーを寄せ付けない極意も身につけています。
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一度お話しする機会を持つと、きっと誰もがその清らかな笑顔に、言葉の美しさに、心を奪われる││、伊礼清子さんはそうした魅力の持ち主です。この方に習うとピアノの音色もやさしく奏でられそうな、そんなピアノの先生。可憐なイメージにご職業もピッタリ合っています。
頼れる朗らかなご主人と、繊細で素直でかわいい息子さんたちに囲まれて、今は穏やかな笑顔に満ちた清子さんですが、かつては、 こうした姿を未来像として描けなかった、夢も希望もない日々を過ごしたことも。
未来を奪ったかのようなアトピーをどう目の前から退かせたのか、そして、アトピーを克服していく過程で学んだことなども、 心を込めて語ってもらいました。美しい笑顔を取り戻すまでにはたくさんのドラマがあったのです。
- ステロイド剤、漢方薬に野菜汁…試しても治る希望が持てない
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皮膚が弱かった。そう記憶している小学校時代から、清子さんにはかかりつけの皮膚科医がありました。
「ケガをしてもリンデロンを出してくださる、ステロイドがお好きなお医者さまでした。『娘が水疱瘡になってしまって』と父から伝えますと、 『顔に残っちゃったらかわいそうだから』と、"特効薬"をくださるような先生で、何かにつけてありがたいお薬をいただいてはちょこちょこ塗っていましたね」
とはいえアトピーとの自覚は小学校時代の清子さんにはなく、かゆみがじわじわと慢性的になりだしたのは 「おそらく中学生になってからだと思います」とのことです。
そこからは「ちょこちょこ」ではなく習慣化してステロイドを塗り重ねるようになっています。よく使ったのは「プロパデルム」。 ストロング(強力)にランクされるステロイドです。
「大学生くらいになってくると、同じ薬では抑えきれなくなってきたようで、大きな大学病院にも行きました」。処方されるのはやはりステロイド。さらにそ れを「中和させる」との目的で、別の 薬も併用するようになっていきました。
病院での治療と並行して、漢方薬、ニンニク風呂、米ぬか風呂、ドクダミ、そして一時流行った野菜汁など、「アトピーにいい」と聞けば、 試せる治療を次々に試していったのもその頃でした。残念ながら手ごたえは得られなかったそうです。
「ステロイドは保湿クリーム代わりでした。とても短い時間しか効きませんので、常に持ち歩き、肌が乾いてきたら塗っていましたね」
そこまでなじんでいた薬を手放したのは23歳の頃。トラブル肌改善を謳う某化粧品メーカーの本でステロイド剤の恐ろしさを知った清子さんは、薬をいきなり断っています。
「そうしたら1日2日で離脱が来て、顔が膨れ上がりました」。どうしたらいいのか、自分に何が起きているのかもわからない。驚きと恐怖は計 り知れないものだったでしょう。
反面、「ここまでになるほどの薬は使ってはいけないものだったんだ」と冷静に思い、また、「そんな薬をやめた以上は、1カ月程度で良くなるん じゃないかと、根拠もなく思えていました」とも。
ところが、現実は安易には進みません。勝手に感じた希望に反し、つらさが募る一方の体、そのギャップに耐えられなくなっていきます。ご両親の不安もピークに達していきました。