アトピー克服体験記 |
- アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ市在住 中嶋恭子さん
中学生のときアトピー性皮膚炎を発症した中嶋恭子さん。就職後に悪化 した症状は、彼女を退職まで追い込みました。 度重なる離脱症状も、持ち前の明るい性格とポジティブな意志で乗り越 えて、温泉湯治開始後約2年でアトピーを克服。 その後アメリカへ語学留学し、現地で知り合ったアメリカ人男性と結婚。 留学を志した動機や苦労、現在の生活や両親への想いなど、克服後の恭 子さんの12年間を振り返ります |
|
アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ市在住 中嶋恭子さん |
|
-
アメリカ合衆国フロリダ州の南端に位 置するマイアミ市。リゾート地として知 られる開放感あふれるこの土地に、こん がりと日焼けした小麦色の肌が印象的
な、一人の日本人女性が住んでいます。 語学留学を志して単身で渡米した中嶋 恭子さんは、2002年に知り合ったシ カゴ出身男性とゴールイン。現在は2匹 の愛犬とともに、幸せな家庭を築いてい ます。ピカピカの肌と満面の笑顔が魅力 的な恭子さん、こんな彼女が10数年前に、 激しい離脱症状を繰り返すほどひどいア トピー性皮膚炎だったなんて、誰も想像 できないでしょう。
- プレッシャーもはねのけてマイアミへの勇気ある一歩
-
自宅のお庭。ガーデニングにも夢中です。
もともと好奇心旺盛で、チャレンジ精神たくましい恭子さん。で も、女性一人での渡米留学となると、ご両親 も心配されたことでしょう。
「両親は猛反対でした。でもあの頃は、『私の人生なんだから、 私の好きにさせてよ!』と思っていました。ずいぶん自分勝手 なものです。そのときは結局、母が了解してくれて、父親を説得し てくれました」
渡米の2週間ほど前、恭子さんに異変が起きています。 回復後ほとんど再発することのなかったアトピーの症状が 顔に出てしまいました。住みなれた土地を離れる緊張感か らでしょうか? マイアミには従姉妹が住んでいるとはい え、一人旅立つことのプレッシャーの大きさは想像に難く ありません。それでも恭子さんはキャンセルや延期を考え ず、勇気ある一歩を踏み出しました。
- ストレスに負けない精神力はアトピー克服体験のおかげ
-
「症状が顔に出たままでのスタートでした。もうその頃は、ストレスの塊だった
のでしょうね。マイアミの語学学校に通い始めましたが、最初は友達が一人もい
ないし、クラスでもなかなか積極的に話しかけられない自分がいました」。
新しい環境に慣れないことと孤独感で、症状が悪化していった恭子さん。そ んな状態から抜け出す手助けをしてくれたのは、恭子さんをとりまく新しい人間 関係でした。
「最初に一人お友達ができたんです。そうするとそこから輪が広がって、友達が どんどん増えていきました。私の顔の症状なんか全く気にせずに、みんなが接し てくれたことが何よりうれしかった。これで気が晴れたのか、2カ月後にはすっ かり症状が出なくなりました」。
渡米当初、恭子さんは学校の寮に住んでいました。食事もお風呂も生活スタイ ル全般において日本とは勝手が違う環境、さらに文化も言葉も異なる人々に囲 まれた生活を始めるわけですから、どんな人でも大きなストレスを感じるはず。 恭子さんも症状をぶり返してしまいましたが、たった2カ月で持ち直すことがで きました。これほど大きなストレスも跳ね返す恭子さんの精神力には、どんな秘 密があるのでしょう?
「2年間じっくり湯治をして、アトピーを克服できた体験が大きいです。あれ以 来、少々のことではくじけなくなりました。何か壁にぶつかっても、『あれだけ 辛く長い時期を乗り越えたんだから、今回だってきっと大丈夫!』と思えること が多くあります」
気持ちを強く持てるようになった分、心にも余裕が生まれます。恭子さんは、 アトピーから「人の立場に立って考えること」も学びました。さらに、ストレス が体に与える影響にも注意を払えるようになりました。十数年前、恭子さんのア トピー性皮膚炎が急激に悪化した原因は、職場の人間関係でした。マイアミに 来てからも、こんなエピソードがありました。
「事務職の仕事をしていた頃、そこのオフィスには私と女性のボス二人だけ。彼 女は仕事を離れるととてもいい人なのですが、仕事中はいつもピリピリしていま した。すごく居心地が悪くて、気がつくと右の頬に赤いポツポツが出始めました。ところ が、彼女が1週間出張に出かけると、その間にすっかり症状が消えたんです。精神面がア トピーに及ぼす影響は大きいのだなぁと再確認しました。以来、どんなときも気持ちをゆ ったりと持つことを心がけています」