今すぐできる!アトピー改善法 |
監修:小林弘幸
順天堂大学医学部教授、日本体育 協会公認スポーツドクター。外科、 免疫、臓器、神経など多岐にわたる 研究の中で、自律神経バランスの重 要性に着目。便秘を治すカギは「自 律神経」にあると日本初の便秘外 来を開設し、受診が5年待ちになる ほどの改善効果をあげている。著書 に『なぜ「これ」は健康にいいのか?』 サンマーク出版、『便活ダイエット』 ワニブックスなどがある。
- 腸の調子をよくすれば、自律神経が安定してくる。 自律神経が安定すれば、アトピーが改善されていく。 自律神経研究の第一人者・小林先生が教えてくれたアトピー改善法は、 日常生活のなかで簡単なルールを決めて実行するだけ。 あなたも今すぐやってみませんか?
- 便秘になるとアトピー症状が悪化するのはなぜ?
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便秘に悩んでいるアトピー性皮膚炎の患者さんは多いものです。また、便秘になるとアトピーの症状が悪化するという傾向もあります。
これはなぜでしょう?
便秘の人には、次の傾向のいずれかが当てはまります。
- (1)腸のぜんどう(蠕動)運動に問題がある
“ぜんどう運動”とは、腸を伸び縮みさせる動き。この動きによって、腸は食べ物を移動させ消化していきます。 ぜんどう運動が低下するほど、食べ物は腸内に停滞しやすくなります。食べ物が腸内にとどまる時間が長くなると、 水分が必要以上に吸収されて便が硬くなります。さらに食べ物が異常発酵(腐敗)を起こし、腸内環境も悪くなります。
- (2)肛門括約筋に問題がある
肛門括約(かつやく)筋は、便の出口にある筋肉。直腸が拡張して便が下りてくると、肛門括約筋が反応して脳にサインが送られ、 便意を感じます。肛門括約筋の反応が鈍いと、脳から排便サインが送られにくくなり便がたまりやすくなります。
- (3)自律神経が安定していない
自律神経(交感神経と副交感神経)については後ほど説明しますが、交感神経が高まりすぎると副交感神経が下がり、 腸のぜんどう運動が低下して、便が出にくくなります。腸のぜんどう運動は、主に副交感神経によって収縮します。 副交感神経が高まって体がリラックスモードになることで、便が出やすくなるのです。
アトピー性皮膚炎の症状が悪化すると、自律神経のバランスは交感神経が高まった状態になっています。 「交感神経が高まる→体が緊張する→腸のぜんどう運動が低下する→便秘になる」というサイクルに陥りやすいため、 便秘と症状悪化を繰り返しやすいのです。
- 腸内環境が整うとアトピーや糖尿病など様々な病気が改善される
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便秘を解消するにはどうしたらいいでしょうか? そのカギを握るのが「腸内環境」です。よく「腸内環境が悪い」などと
言いますが、これは悪玉の腸内細菌(大腸菌など)が多い状態。悪玉菌を減らし、善玉菌(ビフィズス菌など)を増やすことで、
腸内環境が整います。
腸の中には60〜100種類ほどの腸内細菌が1・5キログラムも住んでいて、排出される便の半分を腸内細菌が占めています。
腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分けられます。善玉菌は腸の消化吸収を助け、免疫力(病気に対する抵抗力)を 高めるなど体に有益な働きをします。悪玉菌は、炎症を起こしたり発がん性物質を作る有害な菌。日和見菌はその中間で、 どちらか優勢になった菌の味方をします。
腸内の善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合は、2:1:7。多数派の日和見菌がどちらの味方につくかで、腸内環境は決まります。 だから日和見菌を善玉菌の味方にすることが、腸内環境を整えるポイントです。
腸内の善玉菌を増やしていくと、副交感神経が上がるという動物実験のデータがあります。つまり腸内環境を整えることで、 自律神経のバランスもよくなるのです。自律神経は血管の伸縮を支配しているから、バランスがとれることで体全体の血流がよくなり、 糖尿病など様々な病気の改善につながります。腸内環境を整えて便秘を治すことで、体全体のバランスが整っていくのです。
- 腸内の善玉菌を増やすには?
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では、どうやって腸内の善玉菌を増やすのでしょう? まず植物繊維を摂って腸内を掃除します。
それからビフィズス菌などの善玉菌が含まれる食品(ヨーグルトや味噌などの発酵食品)や、善玉菌のエサとなるオリゴ糖などを摂って善玉菌を増やします。
さらに根本的に腸内環境を整えるために、腸のぜんどう運動を高めます。ぜんどう運動が活発になれば、腸内の腐敗物は取り除かれるので、 善玉菌が活躍しやすいクリーンな環境に変わります。日和見菌が善玉菌の味方につきやすい状況になれば、一気に腸内環境は整います。
そのために必要なのは、腸のぜんどう運動を支配している副交感神経を高めること。自律神経にはリズムがあり、このリズムをうまく 活用することで、自律神経をコントロールし副交感神経を高めることができます。