界面活性剤の正しい知識がアトピーの悪化を防ぐ! |
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監修 岩居 武 医学博士
1964年大阪府出身。徳島大学医学部を卒業後、大学関連施設を経て、病院院長などを務める。
自身がアトピー性皮膚炎で、自宅温泉湯治の経験者でもある。
- 界面活性剤とは、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、
油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質の総称です。
身近にある例で説明してみましょう。油と水を容器に入れても、混ざり合うことはなく分離します。 マヨネーズを作る際も、酢と油だけでは混ざり合うことはなく分離します。ところが、 ここに卵黄を加えると分離することなく混ざり合います。これは、卵黄に含まれる「レシチン」と呼ばれる成分が、 油とつながる親油基と水とつながる親水基を持っているため、酢と油をつなぎ合わせて分離を防いでいるからです。 つまり、マヨネーズではレシチンが界面活性剤の役割を果たしているわけです。
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合成界面活性剤を使用した洗剤よりも純石けんが良いとされるのは、石けんに使われる天然の界面活性成分が、 石油系の界面活性成分(合成界面活性剤)よりも安全であるためです。
しかし、アトピー性皮膚炎の症状に対して考えると、純石けんは安全性こそ高いものの「界面活性作用」自体は持っています。 界面活性作用によって皮脂膜を取り去ることによる、「バリア機能低下」「皮膚の乾燥」といった症状悪化の要因は抱えているといえるので、 注意が必要でしょう。
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衣類の洗浄剤も、界面活性剤を使った洗剤(合成洗剤、石けん洗剤など)の場合、肌への影響が心配されます。全自動洗濯機の場合、 「すすぎの回数を増やしても、300ppm程度の洗剤成分が衣類に残留する」というデータがあるからです。
特に肌着の場合は直接皮膚に触れるので、汗をかくと衣類に残留した界面活性剤(洗剤の成分)が汗と皮脂膜を乳化させることで、 皮脂が奪われやすくなります。
背中やお腹に乾燥状態を感じる場合、衣類の洗剤も気をつけるようにしましょう。