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腸内細菌の乱れがぜん息を悪化させるメカニズムがわかった!





  • 人間の腸管には、500種類以上、100兆個以上の腸内細菌が共生しています。人体によい影響を与える菌、健康を害する病原性の菌、普段は無害な菌など、その働きは様々。健康な状態では腸内細菌のバランスが保たれていますが、バランスが崩れると様々な病気が引き起こされます。 
    腸内細菌のバランスの乱れによる病気で多いのは、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸炎です。これらは腸内で炎症を起こす病気ですが、原因も症状も同じ腸内で起こるのでわかりやすい話です。 
    それでは、糖尿病、ぜん息、アトピー性皮膚炎など、腸とは直接関係のない全身の病気はどうでしょう。腸の研究が進み、腸内細菌のバランスが体全体に影響をおよぼしていることがわかってきました。そして、様々な病気が腸内環境の影響を受けていることが明らかになっています。しかし、どのような仕組みで影響を受けているかについては、これまで解明されていませんでした。 
    これから紹介する研究は、この仕組みを解明するために進められました。その成果は、2014年1月16日に「腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明―新しい発想のアレルギー治療へ―」(筑波大学と米ミシガン大学の共同研究)という論文で発表されました。腸内細菌のバランスの乱れがぜん息を悪化させるメカニズムが、世界で初めて解明されたのです。



  • 実験用マウスに抗生物質を投与
  • 腸内細菌バランスが乱れる原因は様々。遺伝的要因、食習慣やストレスといったライフスタイル、新生児期の初期暴露(出産時の産道などでの細菌感染)、医原性(薬などの影響)と、大きく4つの原因が考えられます。なかでも急激にバランスが乱れるのは、薬の影響によるもの。抗生物質の投与は腸内細菌バランスを大きく変化させます。 
    そこでこの実験では、腸内細菌バランスが乱れるように、マウスに抗生物質を投与しました。それからぜん息を起こす抗原(パパイン)によりぜん息を誘導し、気管支炎を悪化させます。 
    右の写真(写真1)は、そのときの肺の断面の顕微鏡写真です。左は抗生物質を投与していないマウス、右は抗生物質を投与したマウスです。 

    各写真の中央の大きな穴が気道ですが、右側の上下の写真(抗生物質を投与したマウス)では、気道の周りに紫色が濃く集まっています。これは気道の壁についた粘液で、炎症が起こって、ぜん息が悪化していることがわかります。





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