経穴とアトピー |
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- 日本でも国家資格が認められている、鍼灸(しんきゅう)などのツボ療法は、東洋医学、中でも中国の伝統医学の治療法のひとつです。
これらのツボ療法はアトピー性皮膚炎に対する臨床効果も知られています。
私たちの体にある「ツボ」を知ってアトピー改善に役立ててみましょう。
- 1.中国伝統医学でのアトピーとは?
- <中国伝統医学には西洋医学のような診療科による区別はないため、皮膚科はありません。 アトピー性皮膚炎を皮膚の病気と考えずに体のバランスの乱れとするのが中国伝統医学の考え方です。
- ■体全体を整えることで患部を治療する考え方
- 東洋医学の中でも、中国医学は、古代中国の思想を基に発展してきた伝統医学のことで、生薬などの薬物療法である漢方、物理療法である鍼灸・按摩療法、食事療法などがあります。中国伝統医学では、環境やストレス、食事などの影響で、気の流れやエネルギーのバランスが乱れ、体の機能バランスが崩れている状態のことを「病気」と考えます。
- 鍼灸治療では、この乱れた体のバランスを整えることによって、人間が本来持っている自然治癒力や免疫力を高め、体の不調を改善していこうとするものです。西洋医学が患部を部分的に治癒していこうと考えるのに対して、中国伝統医学では体全体を整えることによって患部も治癒させようという違いがあります。
- ■皮膚の治療は肺を整えることが基本
- 中国伝統医学の理論を支えている自然観の一つに、「五行」という考え方があります。自然界のすべての物や現象を、「木、火、土、金、水」という5種類の要素の特性や、相互関係、運動からとらえようとする考え方です。人間の体で五行に対応する考え方が、「五臓六腑」(※1)といわれるもの。五臓六腑はお互いに関連しあっていると考えます。そのつながりのひとつに「肺は皮毛を主(つかさど)る」という言葉があり、これは皮膚や毛髪は肺がコントロールしているということを意味しています。中国伝統医学の古い文献には、アトピーに似た皮膚症状の記述もあり、昔から皮膚の治療には肺を関連付けていたことがわかります。実際の鍼灸の臨床現場では、肺を強くするための治療をすることで、アトピー性皮膚炎が改善されたという例が多くあります。
※1 | 五臓とは、肝、心、脾、肺、腎のこと。六腑とは、胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦のことで、三焦は水分代謝全般を指す機能系を指します。 |