アレルギーの原因物質を見つけよう |
監修:角田和彦(かくた かずひこ) かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイス ときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。 |
- アレルギー疾患を治療するための第一歩は、アレルギーの原因物質を見つけること。 生活環境のあらゆるところに、アレルギーの原因物質はあふれています。 注意深く身の回りをみわたして、自分自身の原因物質を見つけましょう。
- アレルギーの原因物質を知る
-
枕にタオルをまいて寝ていたら、頬に
湿疹が出るようになった。オムレツを食
べたお父さんが赤ちゃんにキスをしたら、
卵アレルギーの症状が出た。寝室と寝具
の掃除をしっかりするようになったら、
肌のかゆみが軽くなりぐっすり眠れるよ
うになった…。クリニックに来る患者さ
んから、こんな話をよく聞きます。
私たちをとりまく生活環境には、アレ ルギーの原因となる物質や悪化要因がた くさんあります。今回は、症状を起こす 原因物質にはどんなものがあるか、そし て自分にとっての原因物質をみつけるに はどうしたらよいかお話します。 まずは、アレルギーを誘発しやすい物 質について知ることです。次の表をみて、 自分の周りに原因物質が多くないか確認 してみましょう。
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※ 1
ラテックス:木の樹液から作られるゴム成 分のこと。バナナやキウイなど様々な植物 にも含まれているため、ゴムアレルギーを 起こすとこれらの食品でもアレルギーを起 こしやすくなる。
※ 2
アニサキス:アジ、ニシン、イワシ、サバ などの魚の内臓に寄生していることが多 い。これらの魚を食べて、寄生虫のアレル ギーを起こす場合がある。
参考:『アレルギーっ子の生活百科 第 三版』角田和彦著 近代出版
- 原因物質をつきとめるには
-
アレルギーの原因物質は、きりがない
ほどたくさんあります。この中から原因
を見つけ出すのは、医者でもなかなか難
しいもの。しかし、自分の症状の経過を
よく振り返ることで、原因が判明するこ
とがほとんどです。できれば発症や悪化
の2〜3日前までさかのぼり、食べたも
のや、どんな行動をしていたかをできる
だけ詳しく日記につけてみましょう。症
状を繰り返している場合は、毎回起こる
症状に共通するものを探します。日記を
つけるときのポイントを紹介します。
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①食べたものは何か
(アレルギーを起こしやすいもの、農薬・食品添加物など)
②触ったものは何か
(そばにいた人が食べたものでも症状が出ることがあります)
③吸い込んだものはないか
(ダニ、花粉、動物の毛、カビ、小麦など粉状食品など)
④何かに刺されなかったか
(ハチ、蚊、アブ、ブヨ、クモ、ヘビなど)
⑤どこで発症・悪化したか
⑥何をしているとき発症・悪化したか
⑦他のアレルギーを起こしていないか
⑧他の病気を起こしていないか
(特に、腸の病気や肝臓の病気)
⑨疲労・寝不足がたまっていないか
⑩合成洗剤を多用していないか
⑪一緒に飲んだ薬はないか
(特に解熱鎮痛剤)
⑫アレルギー対策の程度
(各アレルギーの原因対策がうまく行われているかどうか)
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参考:『アレルギーっ子の生活百科 第三版』角田和彦著 近代出版