カビを減らしてアトピー症状を改善しよう |
監修:角田和彦(かくた かずひこ) かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイス ときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。 |
- ダニや化学物質同様、カビはアトピーなどのアレルギー症状を悪化させる大きな要因です。 カビが繁殖しやすいこの季節、生活環境、腸内環境でのカビ対策をお伝えします。
- アトピー性皮膚炎とカビ
-
アトピー性皮膚炎の炎症が起きれ
ば、炎症部分の抵抗力は落ち、様々
なカビ、細菌、ウイルスなどが感染
しやすくなります。感染を繰り返せ
ば、こんどはカビや細菌が作る毒素
にアレルギーを起しやすくなります。
私のクリニックで、半年間にわた りアトピー患者さんのカビの状態を 調べたところ、約3割の人から病原 性のカビ(白癬菌、カンジダ、黒色 真菌など)が検出されました。特に 黒色真菌がみつかった患者さんは治 りが悪く、同じ場所が繰り返し悪化 する傾向がありました。
カビの菌が皮膚に付着し感染症を 引き起こしたり、あるいはたまたま 付着しただけでもアレルギー症状を 悪化させる大きな要因となります。 また、腸内のカビも症状に影響をも たらします。生活環境から、これら のカビを取り除く努力をすることで、 症状を改善することができます。
-
湯上りには
洗いたてのタオルを
湯上り時は、上がり湯やシャワーで体から 汚れを洗い流します。お風呂から出たら、 洗濯したてのタオル(バスタオル)で体 をふきます。一度使ったタオルは、十分な 栄養(アカなど)・湿度・温度が保たれて、 カビや細菌の温床となります。そのタオル を翌日も使えば、カビや細菌を直接体につ けることになるので注意しましょう。
湯上りタオルは個別に用意
湯上りに家族全員で同じタオルを使うと、 家族同士でカビ・細菌を交換し合うことに なりかねません。タオルは一人ずつ個別に、 洗いたてのものを用意します。
浴槽は毎日洗い、湯は毎回換える
浴槽内側の湯面付近は、アカや皮膚から落ちたカビ、 細菌などがこびりつき、放置すると増えていきます。 風呂の湯の交換や、浴室・浴槽の掃除が少ないほど、 皮膚にカビや細菌の感染を起こす確率が高くなりま す。お湯は毎回換え、特に浴槽内はそのつど掃除しま しょう。
入浴最後は、冷たい水を散布
浴室の壁や天井、石けん置き場やシャンプーの容器 などは、こまめに洗ってカビの繁殖を防ぎたいもの。 でも天井や壁を毎日掃除するのは大変なので、最後 にお風呂に入った人は、冷たい水を壁や天井にかけ ておきましょう。壁や天井に付着したアカなどを洗 い流し、浴室を冷やすことで、カビの増加を多少減 らすことができます。 普段から、浴室の換気もしっかり行いましょう。
寝具は「乾燥」+「掃除機」で
寝具にもカビはつきやすいもの。できれば日光に干して、 干した後は必ず掃除機をかけてカビの胞子を吸い取りま す。菌によっては、掃除機だけでは取り除けないので、洗 濯できるものは水で洗い流すことが大切です。
食べこぼしには要注意
食べこぼしで衣類に付着した食物は、カビの温床となる ばかりか食物アレルギーの引き金にもなりかねません。特 に小さいお子さんのパジャマなど、食べこぼしがついてい ないかチェックしてあげてください。
洗濯物はすぐに干す
洗濯物を干さずに放置すると、衣類などに 残ったカビが増え、その状態で干してもカビ が残ってしまいます。洗濯物はすぐに干し、 カビの増殖をできるだけ抑えましょう。 室内で洗濯物を干す場合は、扇風機をかける と早く乾きます。洗濯物がどうしても乾かな い場合は、アイロンをかけると効果的。
洗濯槽もしっかり掃除
洗濯機の中は、洗濯物の汚れでカビ が生えます。洗濯槽もときどき点検 し、カビを取り除いてください。自分 で掃除できる部分は、消毒用のアル コール(エタノール)と使い古しの 歯ブラシなどを使って洗います。