夏休みを満喫するためのアレルギー対策 |
監修:角田和彦(かくた かずひこ) かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイス ときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。 |
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これからの季節は、帰省や旅行で外泊したり、海やプールで泳いだり、
キャンプに出かけて野外で過ごしたりと、夏ならではのイベントも多くなります。ダニやカビなど、 自宅でのアレルギー対策は万全でも、外泊先の寝具など、環境が変わって症状が悪化したという話は多いもの。 症状の悪化が心配で、旅行やレジャーには消極的になってしまいがちな人も多いでしょう。 でも、宿泊先などで悪化につながる原因を知り、その対策をしっかり準備していけば大丈夫。 ちょっとした工夫で、夏休みを快適に楽しめるポイントを紹介していきましょう。
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帰省先など、他の家に泊まる場合
食事はここに注意
食物アレルギーがある場合、宿 泊先での食事にも注意が必要。 実家など宿泊先の方に、食物 アレルギーについて理解しても らうことが一番のポイントです。
対策
● 宿泊先の方に説明し、食材・調味料を持参して自分で料理する。
● 症状が強い場合は、鍋やフライパンなど調理器具も持参する。
● 症状が強い場合、食物に接触して悪化する場合があるので、宿泊先でその食品を避けてもらう。
アレルギーを理解してもらおう
父方の実家へ行く場合はお父さんが、母方の実家へ行く場合はお母さんが、 実家の方たちに食物アレルギーについてしっかり説明してください。 理解が得られれば、対策はより簡単になるものです。
寝具はここに注意
実家や知人の家など他の家に泊めてもらうときは、特に寝具に注意します。 お客さん用の布団は、長い間押入れにしまわれています。そこから出したばかりの寝具には、 ダニの糞や死骸のかけら、カビなどが多く付着しているため、湿疹や鼻炎、喘息発作の引き金になることも。 特に梅雨をこえたばかりの時期や秋口は、高温多湿でダニ・カビが増えやすいので要注意です。
実家などで可能であれば、事前に以下のお願いをしましょう。
●寝具を何回か外に干して、掃除機をかけておいてもらう。
●毛布や枕カバーなど、洗えるものは洗濯しておいてもらう。
対策1ができない場合、自分でできることもたくさんあります。
● 宿泊先の寝具に掃除機を自分でかける。
● 防ダニ用のシーツや布団カバー(高密度に編まれた製品)を持参し、宿泊先の布団をおおってしまう。
● 封筒型の寝袋(シェラフ)を持参する。
ソバがら枕に注意!
ソバアレルギーがある場合、ソバがら枕は避けましょう。 ソバがら枕はポリ袋などに入れてしまってもらうようにお願いし、 ソバがらの粉が落ちていそうなところには掃除機をかけておきます。
旅館やホテルに泊まる場合
寝具はここに注意
対策 旅館やホテルでは、空調がコントロールされ寝具のシーツやカバー類もクリーニングされています。 かといってトラブルが少ないとは言い切れず、自分でコントロールしにくい分、 特に寝具対策を準備していったほうが安心です。
●旅館の寝具の上で飛び跳ねたりホコリを立てるようなことをしない。シーツは清潔でも、布団やベッドには、ダニやカビが多い場合があります。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参し、布団の上に広げて使う。
寝袋を活用しよう
最近は、質のいい寝袋が安価で手に入るようになりました。 寝袋を1週間以上かけて何度か干し、掃除機をかけてダニやカビが少ない状態に保ち、旅行に持ち歩けば安心です。 寝袋を選ぶ際は、封筒型のものが使いやすく便利です。表面の素材は木綿のものを選びます(中面は化学繊維でもしかたないでしょう)。
合宿や修学旅行での食事はここに注意
家族や知人との旅行の場合、食事に関しては食べられるものを持参するなど自由度が高いので、 融通が利きやすいもの。でも、学校の合宿や修学旅行などでは、制約も多くなります。 事前に引率の先生と相談することが大切です。
●先生と相談し、事前に献立メニューを教えてもらう。食べられないものが多い場合は、食べられるものを持参する。
●無理にみんなと同じものを食べて具合が悪くなれば旅行が台無しになってしまうと、本人が自分で気をつけるように促す。
旅行はお子さんが自己管理を学ぶよい機会
合宿や修学旅行は、お子さんが親元を離れて、自己判断でアレルギー対策して自分に合った食を選択できるようになるための良い機会と捉えましょう。楽しい旅行にする にはどうしたらよいか、しっかり事前準備をして学べるようにフォローしてあげてください。