化学物質を避け、アレルギーを遠ざける |
監修:角田和彦(かくた かずひこ) かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長 1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイス ときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。 |
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アレルギー反応とは、体内に侵入してきた異物から身を守るために発達してきた生体防御機構。
体が健康な状態であれば、アレルギー反応を起こすと同時にアレルギーを抑える力が働き、
体に大きな障害が起きないように反応を抑えこみます。
しかし、環境ホルモンなどの環境汚染化学物質がアレルギーを抑える力を 混乱させると、アレルギー反応が激しくなって歯止めがきかなくなり、 アトピーやぜんそくなどのアレルギー性疾患を引き起こす可能性が考えられます。
様々なアレルギー症状を起こしている人は、環境汚染を避けることで身を 守っているかのように見えます。身の回りに蔓延する化学物質など、体に合わないものが 体内に侵入してくると、鼻みず、くしゃみ、咳、下痢、湿疹などで体外に排出しようとします。 これらの症状をコントロールできない状態がアレルギー疾患なのだから、環境化学汚染物質を 避けることは、アレルギー症状を緩和することにつながります。
- タバコ
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タバコの煙の中には、ダイオキシンやベンゾ(a)ピレ
ンなど20 種類以上の化学物質が含まれています。肺
がんとの関係はもちろん、子どもの肺の正常な成長を
妨げてしまいます。タバコを吸う人がいる家庭では、
気管支ぜんそくを発症しやすいこともわかっています。
特に妊婦や赤ちゃんのいる家では、家族全員がタバコ
をすわないように心がけましょう。
外で吸っても、髪や服に煙がついたまま微粒子を家に 持ち込まないようにします。タバコのニオイがしたら不 合格と考えてください。
- 石油・ガス燃焼物
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石油やガスが燃えると、窒素の酸化物や炭素のチリなどができます。窒素酸化物は鼻や気管の粘膜を傷め、
鼻や気管の病気を悪化させます。気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など排気ガスで
悪化する可能性のある症状がある場合は、室内の石油・ガスの排気に注意してください。
室内排気型のストーブや給湯器をなるべく使わず、室外排気型のものに換える、または電気ストーブ・ 電気調理器を使うようにします。
- ホルムアルデヒド
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ホルムアルデヒドは、家や家具、壁紙などの接着剤、合成樹脂、消毒剤、防腐剤、脱臭剤などから揮発して様々な
症状を引き起こします。
ホルムアルデヒドは、目・鼻・喉などに様々な不快症状を引き起こします。皮膚に付着すると皮膚は乾燥し、 傷があればそこから侵入してアトピー性皮膚炎の悪化要因となります。
家を新築する場合は、ホルムアルデヒドを含まない建材を選ぶことが重要です。家屋が汚染されている場合は、 十分な換気を行うとともに、高性能の空気清浄機が必要です。
- 有機リン系殺虫剤
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畳の多くには、防虫剤(有機リン系殺虫剤)が使われています。動物実験では、有機リン系殺虫剤がアレルギー症状を
悪化させるという報告もあるので、室内に存在するのは好ましくありません。
有機リン系殺虫剤によって自律神経の働きも悪くなり、頭痛・めまい・吐き気などの神経系統の不調にもつながります。 特に、畳に近い位置で呼吸し生活することの多い乳児は、大きな被害を受けやすいでしょう。
特に乳幼児やアレルギー疾患のある人は、畳のある部屋を避けるか、防虫剤を使用していない畳に換えましょう。