感染症に強くなる!スキンケア&入浴法 |
監修:監修:岩居 武 医学博士(いわい たけし) 1964 年大阪府出身。 徳島大学医学部を卒業後、大学関連施設を経て、病院院長などを務める。自身がアトピー性皮膚炎で、自宅温泉湯治の経験者でもある。 |
- 昨年の夏は猛暑でした。今夏も天候不順という予測が出ています。
季節によってアトピー性皮膚炎の悪化要因は変化するもの。
梅雨から夏にかけての季節は、当然ながら、冬の乾燥時期とは違った対策が必要になります。
特に6〜7月の梅雨の時期は、感染症でアトピー性皮膚炎を悪化させるケースがよく見受けられます。
アトピー性皮膚炎で併発しやすい感染症とその対策、さらに夏のスキンケアと入浴のポイントを知って、夏を快適にすごしましょう。
- 梅雨・夏の時期は感染症になりやすい。
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アトピーは夏の時期や梅雨時期に悪化しやすいと言われています。とくに6月から7月の梅雨の時期は、感染症が原因となることが多くありますので、しっかりと対策を取る必要があります。
季節によって、乾燥肌などアトピー性皮膚炎に対する対策は異なってきます。乾燥肌のケアが特に必要となる冬だけではなく、夏の時期も含めて季節に合ったケアを行い、辛い、ひどいと悩むことがないようにしましょう。気温と共に湿度が高くなる季節は、わたしたちにとっては不快でも、菌やウィルスにとっては快適な環境となります。
そのために、菌やウィルスが繁殖しやすいのです。その攻撃先は弱っているお肌となります。とくに皮膚のバリア機能が低下している状態、ステロイド剤などの免疫抑制剤を使用している場合には、感染症にかかりやすくなりますので注意しましょう。
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こんな人は
感染症に要注意
● 皮膚のバリア機能が低下し ている(掻き壊しが多い)。
● ステロイド剤やプロトピッ ク軟膏、ネオーラルなど、免 疫抑制剤を使用している。
- 「カポジ」に注意しましょう。
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アトピー対策は梅雨や夏だけに限りませんが、汗をかきやすい季節で、しかも菌が繁殖しやすいのでとくに注意しましょう。その中でも、「カポジ」と「とびひ」には十分警戒してください。
アトピー性皮膚炎で気を付けなければいけないのは、ヘルペスと黄色ブドウ球菌が原因となる感染症です。ヘルペスとは、単純性ヘルペスウィルスによって引き起こされ、カポジ肉腫の原因となることや、炎症がひどい場合はカポジ水痘様発疹症へと発展します。
カポジ水痘様発疹症では大変辛い症状に悩まされます。高熱と痛みが続きます。カポジが具体的にどのようなものであるか、あるいはカポジ肉腫については写真を見るのが一番ですが、顔、首や腕、さらには体中に湿疹よりもさらにひどく見える丘疹が現れることもあります。かゆみレベルではおさまりませんので、非常に厄介です。適切な治療によって改善することもありますが、正しいスキンケアと入浴法によって、悪化するのを防ぐことができます。
- アトピー性皮膚炎の場合は「とびひ」にも要注意!
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梅雨時期、夏だけではありませんが、湿度が高くなるその時期とくに多いのが黄色ブドウ球菌の感染症です。汗をたくさんかいて顔や首、腕にかゆみが出るという程度の経験は普通かもしれませんが、黄色ブドウ球菌によって引き起こされるとびひは、通常の湿疹とは異なり、強い感染力を持ちますので要注意です。
写真を見るとそれがどのようなものかわかりますが、皮膚に白っぽい膿疱ができて、その中でうみがどんどん広がっていきます。とくに乳幼児やアトピー性皮膚炎を患っている方が発症しやすいのです。治療によって改善を図ることができるとはいえ、最大の治療は予防することです。発症する前にしっかりケアしておきましょう。正しいスキンケアと入浴法によって、ふさわしい対策をしておきましょう。