小山 徹さん(31歳) |
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- 「アトピーを治したい!」。その思いを強く抱き続けている、逆に、実はあまり前向きにとらえられないなど、みなさんの中にもいろいろいな思いが渦巻いていることでしょう。何かきっかけがあれば、人は大きく前向きに変われるということを、今、克服に向けて貪欲に取り組んでいる小山徹さんの体験が教えてくれるはずです。
「あとぴナビ」では、アトピーをオムバスの自宅温泉湯治で克服した方や、現在克服に向けて奮闘している方々の声をお届けしています。 その体験談募集のお知らせを見て、「『克服間近の人』とはまさに俺のことだ!」と、ためらわずに手を挙げてくれたのが、今回ご登場の小山徹さんです。 実は小山さんには、「アトピーを治すことに興味がなかった。やる気がなかった」という時期がありました。毎日湯治を続けて肌の調子がよくなっていても、「どうせ冬になればまた状態が落ちる。どうせ春がきたらまた良くなる」、そんな「どうせ」の繰り返しから、治すことへの意欲が削がれてしまっていたようです。「アトピーに流されていたんです」、そう小山さんは過去を振り返ります。 しかし、今はアトピーを治すことに超がつくほど前向き。ターニングポイントとなった"気づき"は、どのようにして小山さんに訪れたのか、じっくりお話ししてもらいました。

- ■ ベッドの中で悶絶していたつらすぎる記憶
物心ついた頃からアトピーで、記憶をたどれば小山さんの脳裏には、手に包帯を巻かれていた幼い自分の映像が浮かび上がります。
「プール、入りたかったですよね…」。小学校では夏のプール授業はいつも見学。寂しい思い出です。 皮膚科通いはほぼ毎月、ステロイド剤がなくなると薬をもらいに行く、そんな頻度で中学に上がるまで通院は続いていました。一時期は塗り薬だけ ではなくステロイドの飲み薬も併用していたという事実は、だんだん抑えるべき症状が重くなっていたことを物語っています。
「手だけではなく、足とかにもアトピーが出ていたんですが、表面的にはステロイドで抑えられていたので、昔に比べると包帯を巻くという状態は減っていたんですよね」
薬で無理やり症状を抑えていただけ。治ってきているわけでは当然ありませんでした。そんな状態であることを中学校で担任になった先生はすぐに気づいたそうです。
「アトピーに関して詳しい先生で、ステロイドはやめろ、体に悪いからと教えてくれました。そして、先生に勧められて『プロポリス』を飲むことにしたんです」
プロポリスは、「蜂ヤニ」とも呼ばれる、ハチの巣にできる樹脂状の物質。健康食品として利用されています。抗菌作用があると言われるもので、漢方薬に近い働きもあるのだとか。ステロイドをスパッとやめてこの健康食品に切り替えた小山さんでしたが、「すごい離脱が起きちゃって、学校も休むようになって。何も考えられませんでした。ベッドの中でただかゆい、痛い、汁も出続ける、眠れない、どうしようもない、そんな寝たきりの毎日でした」
ご飯はどうやって食べていたのか、そもそもベッドに横になる以外に何をしていたのか、その記憶もない、つらすぎるほどにつらかった離脱。体にたまったステロイドによるダメージは相当なものだったのでしょう。
また、オムバスに出会う以前の話ですので、対処法を知らぬままで迎えた離脱でした。苦しみも不安もとても大きかったようです。
そんなどうしようもないつらさは2、3カ月をピークとして、その後も結局1年近く続いたそうです。「波があって、いいときも少しあれば、全く動けないときもあるという感じですね」。
比較的動ける春夏は学校にも復帰。でもまた冬になると寝たきりに逆戻りでした。
