アトピー克服の盲点 冷えを克服してアトピーを改善 |
川嶋朗(かわしまあきら) 東京女子医科大学附属青山女 性・自然医療研究所・自然医 療部門准教授 東京女子医科大学附属青山自 然医療研究所クリニック所長 1957年生まれ。北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学大学院修了。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学。医学博士。専門は腎臓病、膠原病、高血圧症など。東洋医学、代替医療にも精通し、積極的に治療に取り入れ、統合医療を実践している。『川嶋朗式「冷え」を取れば万病が治る!』(宝島社)、『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社新書)、『健康@常識力.com』(講談社)など著作多数。日本統合医療学会理事、日本抗加齢医学会評議委員。 |
- “冷え”は万病のもと。
血液が滞って起る“冷え”は、あらゆる体の不調の原因です。
冷えの悩みを解消し、アトピーを改善するコツをご紹介します。
- ほとんどの病気は”冷え“が原因
- 読者の方々から多く寄せられる悩みに、「冷え」があります。かゆみだ
けでなく、「手足が冷たくて眠れない」「悪寒がする」「肩こり」などの冷え症状はありませんか?
現代人の体は冷えているといわれています。戦後、冷蔵庫やエアコンが普及したことで、夏でも涼しく、冷たい物を手軽に飲食するようになりまた。本来は汗をかいて代謝効率が高まる夏に体を冷やし、冬は暖房のきいた暖かい部屋で薄着になり、冷たいものを食べて体を冷やす…。このような、自然の摂理にそぐわない環境が、現代人の冷えを招いているようです。
「冷え」は、西洋医学では病名として認められていません。しかし、体が冷えると、血流が悪くなり、免疫・代謝機能にも影響を与え、体のあらゆる不調の根本原因となります。アトピー性皮膚炎の場合も、冷えが大きく関っていると考えられます。さまざまなストレスによる自律神経失調、さらにステロイド剤などの消炎剤も、冷えの原因となります。まずは次ページ下欄のチェック表で、あなたの体が冷えているかどうかチェックしてみてくださ
- ■“冷え“の原因は自律神経のアンバランス
- 東洋医学では、古くから「冷え」
の概念がありました。漢方では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」が人体を形づくっていると考えます。気は心身の活動全般を指す一種のエネルギー、血は血液、水は体の中の水分(体液)を指します。
血と水は、体の中を巡って正気を保つために栄養を運ぶ役割を担います。これら「気・血・水」のバランスが保たれることによって健康な「正気」の状態は保たれます。逆にこのバランスが崩れた状態が「病気」です。
冷えは、血が滞って体の熱が下がり、体のさまざまな部分の活動がうまくいかなくなった状態です。体内をめぐる血液は、酵素や栄養分を運び老廃物を回収する働きがありますが、この働きがうまくいかなくなると、さまざまな病気を引き起こしてしまうのです
- “冷え“の原因は自律神経のアンバランス自律神経の働きが体温を維持する
- 自律神経である、交感神経、副交感神経の働きがどちらかに偏っていると、体が冷えやすくなります。 あなたはどちらに偏っていますか?
- ■自律神経の働きが体温を維持する
- アトピー治療においては、交感神経・副交感神経のバランスを考えて生活改善していくことが大切です。これは、体の恒常性を司る、自律神経系・内分泌系・免疫系全体のバランスを整えて自然治癒力を高めていくためですが、冷え対策にも同じことがいえます。自律神経は、体温の調節を司っているからです。自律神経は人間の意志とは無関係に自律的に働きます。自律神経のバランスが整っていれば、活動的で緊張しているときや昼間は交感神経が優位となり、血管が収縮します。逆にリラックスしているときや睡眠時には、血管がゆったり広がって 血流は促進されます。このように、一日の間に、自律神経のスイッチが自動的に切り替わっている のです。
- ■冷え“の原因は自律神経の乱れ
- しかし、ストレスや睡眠不足で交感神経優位の緊張状態が長く続くと、血管が収縮し、心身ともに疲れきって、冷えや不眠、疲れやすくなるなどさまざまな症状が出ます。内分泌系や免疫系を含めた体全体の機能に影響し、正常な状態を取り戻すまでには時間が必 要になります。また、副交感神経に偏ることも冷えにつながります。リラックスした状態が続いて血管が広がりっぱなしなると、今度は血液が大量にたまりすぎてしまい、同じように血流が滞ってしまうためです。 交感神経・副交感神経のどちらもバランスよく使わなければ、冷えにつながるのです。規則正しい生活習慣を心がけ、昼夜のメリハリのある毎日を送 ることが大切です