埼玉県 八田陽子さん(40歳) |
- ステロイド歴が浅い方なら引き返せます!すぐにやめたほうがいいですね。
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「病院に通って、お医者さまの言葉に正しく従って、それは一生懸命に薬をすりこみましたよ。ましてや40年前なんて、お医者さまのおっしゃることが間違っているとは思いもしなかった時代。1歳、2歳の子どもがかゆくて泣き叫んでいるのを見たら、親は治してあげたい一心で塗らずにはいられなかったでしょう。当時ステロイドは魔法の薬と呼ばれたのですから」八田さんがアトピーを発症したのは2歳の頃。以来、23年という長い間、ステロイドを塗り続けてきました。薬を断って15年たった今なお、ステロイドのダメージが完全に抜け切れたとは言えない状態だとおっしゃいます。「未だに季節の変わり目には、色素沈着が激しかった部分が悪化することがあります。ダメージ
が相当大きかったのだと思います」。
八田さんが25歳でステロイドと決別したのは、職場の女性と一緒に行った「美顔教室」がきっかけでした。
ステロイドの副作用の話から、「できればやめたほうがいいよね」とアド バイスを受け、そう深刻に捉えることなく「じゃあ、やめてみよう」と。その後、自宅温泉湯治を始めると「全身真っ黒、ミイラのおばあちゃんになってしまいました。妹もときどき私からステロイドを借りて、お腹あたりに塗っていたことがあったのですが、家で温泉に入り出すと、お腹や首、股(足の付け根)にもひどい黒みが出て動かすのが辛い状態になりました。ステロイドを塗ったことがない両親には何も出ませんでした」。肌が黒くなったのは、薬を塗っていた人だけに現れた現象ですから、ステロイドの副作用に他なりません。そのとき感じた薬に対する恐怖が今なお忘れられ ないとおっしゃいます。
23年間ステロイドを塗り続けて免疫力が抑制され続けたため、薬を断った体は、自分が持つ本来の免疫力を正常化すべく治癒力を発動させます。それが離脱症状として現れ、八田さんは「あまりのかゆみに顔を掻いていたらアゴが外れた。体温調節ができなくなって、7月なのに寒くてコートを着ていた。全身に虫が這うようなかゆみが。痛みとかゆみで気がおかしくなりそうで、まさしく麻薬だと思いました」と回想します。
そうした最悪の状態を1年でまずは乗り切り、その後も「万全」というには遠い体調が続き、ようやく「ゆるやかに治っている最中だと自覚できるようになりました。それでもまだ、『本来の私の肌にはいつ出会えるの?』と、今 も思っています」。
薬のダメージを受け過ぎている――、悔やんでも時は戻せません。「ですから、まだステロイド歴が浅い方、アトピーのお子さんに塗っている親御さんには特に『塗らないであげて!』と言いたいです」。
八田さんは、回復に焦り、過激な運動で汗を流したり、湯治も我流でこなしてきたりしたそうなのですが、そうことに"気づき"を与えてくれたのが昨春の九州ホスメックリカバリーセンターへの旅だったとか。「スキンケアやゆっくり取り組む運動、マッサージなどを取り入れ、間違いなく大きな前進をしているように思います」と、明るい声を聞かせてくださいました。