福岡県 吉本和樹さん(28歳)悠呂くん(1歳) |
- 薬をやめると症状が出るなら、それは薬で抑えているだけ。治しているわけではないんですよね。
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小学生の頃からときおり手指や関節、お
でこに湿疹やかゆみが出たという和樹さ
ん。当時は病院に通ったのも年に1、2回
程度のことで、出されるステロイドさえ塗
れば、すっと症状は退き、病気という認識
さえも同時にすっと消えていたようでし
た。
状況がなんとなく違ってきだしたのは 20歳の頃から。「梅雨時期になるとものすご いというほどではないんですが、かゆいけ ん、病院に行っておこう」と苦手な季節も 現れ、そこから6年、7年経った昨年2 月、「病院通いが急に頻繁になって、今ま での薬では症状が退かんようになってきたんです。塗る回数 は1日何回までと確か言われていたけれど、治らんからそれ 以上に塗っていましたね。顔用、体用、分けて出されました が、少ない顔用はすぐなくなるので、体用を顔に塗ってもいました」。
そんなご主人の状態を心配した妻・美幸さんは「その薬の中身は何?」と、何 度も尋ねたそうです。お二人の愛息・悠呂くんが生まれたとき(一昨年9月) に、助産院で自然志向の考え方を教わっていた美幸さんは、「ステロイド」についてもよくないものだ と知り、和樹さんの、薬に頼りきった状態を不安視されていたのです。しかし、心配 を口にすると「薬ば塗らんでどうやって治ると?」と口論が始まるきっかけにもなっ てしまったよう。
「実は悠呂にも生後5カ月頃から、ほっ ぺ、胸、お腹、背中にアトピーが出まし た。すごくかゆそうにしていたのですが、 私はステロイドを塗らずにいたら『塗りた くないのはお前の気持ちだけやろ。つらい とは悠呂やろ。かゆみだけでも止めてやれ』 と言われ、かゆがる姿は確かにかわいそう で、さんざん迷いながらも何回か使ってし まったんです」(美幸さん)。塗れば症状は すっと抑えられるため、「ほら治った」と 和樹さん。これは治ったんじゃない…。よ くないと思っている薬が見せる効き目の早 さに「こわっ。どんだけ強い薬なんや ろ」との驚きがあったそうです。
「ステロイドだけじゃなく、この子の 『鼻水止め』や『咳止め』といった薬も"治 す"ためのものではなくて"止める"ため のものなんですよね。お薬手帳に書かれた 効能を読んでも"抑える・止める"と書 いてありました」。きっと必要があって出 ている症状を止めてしまうことに対する 不安が、美幸さんには大きくなっていきま した。
そして和樹さんには、ステロイドで"抑 える・止める"ができていたはずの症状 がもう止まらなくなっていました。何かがおかしい!そう気づき、薬では治せ ない現実を知ったご夫妻が選んだのは、湯 治という手法だったのです。
「ステロイドを断つと、離脱が出てくる だろう。その怖さは大きかったのですが、 それを覚悟することから克服が始まるんで すね」と和樹さん。
これまでの、薬を使った治療法では、 本当にアトピーを治していたわけではな かった。ただ抑えていただけ。しかも、 抑えられている間はまだよかったけれど、 どんどん悪くなっていたのです。断つこ とから始まった克服への道。「このご家族 の誰がアトピーだったの?」、今はそう思 える、健康な肌のご一家です。